強く生きる

HiGH&LOWと山田裕貴関連用。本業はオタクです。

映画「あの頃、君を追いかけた」日本版の良いところまとめ(ネタバレあり)

無事公開されまして、台湾版と台湾版原作小説も読みました。初見時の感想はこっち。あまりに日本版で変なところが多くて、きっと台湾版をそのままやってるせいだろうと推測してて、台湾版確認したら事実その通りで納得したんですけど、それ以上に驚いたのが日本版、細かいところをめちゃくちゃ変えて来てるんですよ!特にメインのキャスト二人に寄せるための細やかな演出が相当いい。
日本版で特におかしい季節感について、インタビューや舞台挨拶で「時間や場所を特定しない為の意図的な演出」だと結構補足してくれてるんですけど、意図的にやったことかどうかと、それが観客に伝わる表現になり得てるかどうかは全く別の問題なので、いくら言われてもふーんとしかならないんですよね。なので日本版で変えたところでわたしがいいじゃん!ってなったところを勝手に書きます。日本版を観て、ちょいちょいある変なところを理由に全編細部にいたるまで台湾版そのまんまなんだろうなって察した人(わたしもそう)はぜひ台湾版も観て変えてるところにびっくりしてほしい。Gyaoで無料配信してます!

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twitter所感から。以下ネタバレありです。

・キミオイ台湾版おわ。なるほどさすが台湾で大ヒットしたのも納得の出来だった…一方で日本版で改変されてる部分は、メイン二人の人となりや関係性を、演じてる二人に寄せることに相当丁寧に注力していて、それはとても成功してる。ここまで丁寧に良改変できるならなぜ季節感無視した~!

・一歩踏み出せなかったのは、コートンは自信家だから、浩介は自分に自信がないからだし、チアイーは割とシンプルにコートンのことが好きで、真愛ちゃんは自分と同じものを感じたから浩介が好きだったようにみえる。最後、真愛ちゃんは想いが残ってるけどチアイーは完全に吹っ切れてる。女って残酷だわ

・台湾版チアイーは優等生なんだけど、血も肉も体温もあって、ぶっちゃけゲザればやらせてくれそう感があるんですけど、日本版真愛はもっと触れたら消えて無くなってしまいそうな絵に描いたマドンナ感がある。それ往年の角川映画とか原田知世ちゃんとか好きなおじさんには響くと思うんだわ~

・最終候補の中からコートン役を決めるに当たって、チアイー役の女優さんにこの中で誰を好きになりそう?って選ばせて決めたらしいんだけど、すごい納得した。
あれはねえ、理由なく好きになっちゃうよね…推しちゃんにああいう理由なきモテオーラはない…真愛ちゃんが浩介を好きになったのはシンパシーだし理由と理屈がある。あるから思い切って踏み出すこともできなかったし、あるから最後まで気持ちをすっぱり切り替えることもできなかったんだろうなあ…

・日本版、仲間がみんな何者かにもなってるのがちょっと引っかかっていて、もう大人のわたしはそこは台湾版の方がいいなって思ったんだけど、だけど齋…ちゃんのファンの若い子がいっぱい観てくれるだろうことを考えると日本版の展開にした気持ちはめっちゃ分かるな

■メインキャスト二人への当て書きがすごい
これ!とにかくこれ!ここがものすごく丁寧に細やかに軌道修正されてて、結果的に台湾版と日本版でそれぞれ別の味わいになってる。山田裕貴クー・チェンドン齋藤飛鳥ミシェル・チェン。似てはいる、似てはいるんですけどでも全然違うんですよね。山田裕貴に関してはそれなりに見てると思いますが、他は全然なので完全にこの作品の印象だけで語りますが、クー・チェンドンのコートンは多分モテるし、ミシェル・チェンのチアイーは全然深窓の令嬢じゃないんですよ。
台湾版のコートンはめちゃめちゃかっこよくて、台湾で世に出た時きっとリバー・フェニックスとかジェームス・ディーンとかSWEP2のヘイデン・クリステンセンみたいと評されたのではと思うんですけどいや知りませんけどわたしなら絶対言うんですけど、これ系の肥大した自我で世界を飲み込もうとする傲慢なイケメンオーラがある。うーん好き。両方とも世界の中で居場所がなくて反抗するタイプですけど、クー・チェンドン無人島に行っても世界に反逆するタイプなのに対して、山田裕貴無人島に行ったら寂しさで死んじゃうタイプだと思います。そこが山田裕貴のサビです!チアイーのミシェル・チェン(恐ろしいことに当時既に28歳ですってよ奥さん!)は知性があってすっごくかわいいんですけど、ちゃんと血と肉と体温があって、手を握ったらちゃんと質量を感じられそうだし、それだけに握っていないとどこかへ行ってしまいそうなしたたかさもある。齋藤飛鳥ちゃんはどこか概念的というか、絵の中で窓の奥にたたずむ非実在美少女感がある。あるいは、古いアルバムの中で微笑んでる人のような遠さ。見る者の願望を月のように受け返してくれるけど、でも絶対に手が届かない物語の中の人。話の流れこそほとんど同じなんですけど、このキャストの差異に合わせて、日本版は細かく設定や演出が変えてあって、それにより二人の距離感も関係性もラストの印象も全然違うものになってました。
台湾版はそもそも二人がはっきりお互いに好きなことを分かってて驚きでした。コートンは自信家でふてぶてしくて、女の子は好きだしモテたい。だけど自信家ゆえにそれがへし折られることが怖くてチアイーに付き合ってくれと言いだせない。チアイーは町医者令嬢ではなく、台湾らしいごちゃっとした団地住まいのおせっかいなお姉さんだし、自分がモテることも、コートンが自分を好きなこともちゃんとわかっていて、ただコートンと一緒に居ていいのか迷ってる。台湾版でチアイーが不合格になるシーン、泣きじゃくるチアイーは相手の告白の気配を察して「今、好きって言わないで」といい、コートンは彼女の背中を撫でるしかない。お互い勇気もないんだけど、それ以上に運命のいたずら感が強い。チアイーが不合格にならなければ、あるいは風が吹いてランタンの文字が見えていれば。最後の結婚式、チアイーは1ミリもコートンに未練がなさそうに見えます。女って残酷!コートンへの恋はアルバムの1ページにして、綺麗に笑いながら別の男のところにお嫁に行ってしまった。台湾版のラストに感じるのは確かに一度手が触れて、だけどその手をつかみ損ねたほろ苦い後悔と、手に残る温かな体温でした。
日本版の浩介と真愛は、台湾版の二人に比べてずっとずっとシャイで自分に自信がない。モテとかそういう言葉はそもそも辞書になさそう。相手が自分のことを好いていると察していても、自分がそれに値する人間かわからなくて、好かれているという感触さえ見失いがち。だから踏み出せない。今告白しないでなんて現実の言葉は言えないし、そんな真愛に浩介は触れることすらできない。もう断然日本版の方が八割増しぐらいでもどかしい。でもそれがキャスト二人の持ち味にぴったりでした。好みは人それぞれといいつつある程度の国民性はあるので、その点でも日本人向きかも。ラストも、真愛はまだすこしだけ浩介に気持ちが残っているようにみえる。チアイーが残ってたら生々しいんですけど、真愛はおじさんのロマンが入った永遠のマドンナだからそれがいいんです。浩介は真愛の手に触れることすらなく、涙一粒だけ残していなくなってしまう。ここがもう昔の文学やその映画化っぽいし、前回の記事にも書いたんですけど、原田知世ちゃん感がある。手の届かないいつ思い返してもずっとずっと美しいマドンナ。台湾版はまさに結婚式当日にエンドマークが付くんですけど、日本版はさらにもっとずっと年月が経過して、あの日の君は綺麗だったなあ、って思ったその時にエンドマークが付く感じ。その手に入れられなかったものをいつまでも惜しむ切なさは山田裕貴がとても持っているものだし、このキャストに寄せるための改変は本当に丁寧にやってくれたなあって思います。
■詩子がかわいい
かわいい。ちなみに台湾版だと詩子ポジは浩介の幼馴染でもなんでもないチアイーの親友で実在のブログの女王らしくて二重にびっくりした。コートンほどの分かりやすい強烈さはない浩介の魅力を詩子の存在が補強してる。なお舞台挨拶でのQ&Aによると、浩介がチャンドラーの長いお別れを読んでいるのはやはり詩子の影響だそうです。*1あと割とどのキャラも言葉づかいにおじさん感があふれてる日本版において、詩子→たぁこという妙に昭和っぽい名付けセンス、良い。真愛が付けたんだなって感じする。

■ランタンに書かれた文字が日本語で良い
台湾版の方が良くない、としてしまうのはあまりにもひどい理由なんですが…真愛・チアイーがランタンに何を書いたのかが分かるシーン、ここがこの作品の一番の巧いところなのは満場一致だと思うんですけど、やっぱり台湾版は台湾語で書いてあるので、文字を見て→翻訳を読んで、のコンマ数秒のタイムラグを自覚した瞬間、日本語版を先に観て良かったなって思いました。このすばらしいシーンを字幕を挟まず直接理解できるというだけで日本版を作った価値はある…。また、台湾版は「好。在一起(字幕:いいわよ、付き合うわ)」なんですよ。台湾版はお互い好き合ってることは自覚してたのでそれでいいんですけど、でも日本版の真愛の「好き」の方が、付き合ったり結婚したりといったその先の具体的な未来を含んでいなくて、ただただ「今、浩介が好き」って気持ちがあふれててわたしの脳内のおじさんはそっちの方が好きだしロマンチックだって言っていました。

■おじさん向け度がすごい
真愛にはおじさんのロマンが入ってるって話したんですけど、日本版はヒロインに限らず全体的におじさんのロマンチックフィルターがかかってます。ともすればおじいちゃんフィルターかも。台湾版は仲間たちのほとんどが平凡な未来に進むんですけど、日本版はみんな何者かになっていて、もう大人のわたしはそこは断然台湾版の方が好きですが、でも乃木坂のファンの10代の男の子女の子も観てくれる前提で作られてると考えると、わたしのなかのおじいちゃんがその子らには綺麗な嘘を見せてやって欲しいんじゃあ〜っていうんでこれでいい。割とよくおじさんの作るものにロマン溢れすぎじゃ〜〜〜って言ったりするんですけど、そう言いつつ本当はめっちゃ好きなんですよ…へへへ。監督が結構年配の演劇人からの方でなんと奥様が女優だそうで、そういう女優を嫁にもらっちゃうようなタイプの人が撮る女優映画に弱いんだ。台湾版はもっとあけすけな感じなので、ロマンチック求めてるおじさんおじいちゃんはふわっと遠き日の美しき思い出フィルターがかけられてる日本版の方が向いてると思います。公開されて、一通り出演者のファンが観たところでちゃんとその層に観てもらうターンなのかな?って思うので、ちゃんと届くといいなー!昔文系アイドルが好きだったおじさん、齋藤飛鳥ちゃんはいいぞ。

■おまけ:台湾版の作者兼監督がすごい
これ、日本版の話関係ないんですけどすっっっごい驚いたので語らせてください。先に小説があって、それを原作者が脚本・監督で映画化した作品なのでてっきり小説と映画はほぼ同じだと思ってたんですけど、読んであまりの小説→映画の改変の巧さに遠征中の新幹線の椅子からひっくり返るかと思いました。登場人物、話の流れ、見せ場、そしてテーマすらおそらく違う。小説版がおそらくは10代の、あの頃まっさかりの少年少女に向けて、「どんな失敗も報われない努力も実らない恋も叶わない夢も、別の何かを結実させることができる、だから勇気を持ってやらずにはいられないことをやりなさい」というテーマなのに対し、映画版は28歳↑の、作者兼監督と同年代以上の、あの頃を振り返ってみる年齢の人達に向けて、「色々あったけど全部美しかったよね」って郷愁を誘うものになってる。twitterでいくつか小説→日本版映画の順にみて、小説の方が面白かったっていうの感想を見かけてこっそりのぞいたら、見事に若い方(推定)だったのでひえってなりました。
カットしたとこ、追加したとこがうますぎてもはやどれが現実にあったことなのか全部作者の創作なのかもわからないんですけど*2、文字で読んだら面白いけど映像だと微妙そうなところはばっさり捨ててあるし、ランタンと結婚式、映画版の2大すごいシーンは原作小説にないんですよ。それ以外も言葉や感情の動きは同じだけど、起きた出来事は全然違う。言葉が素敵な箇所はそれにふさわしい舞台に場所が移動してる。信じられない…。ギデンズコー監督は映画作る天才だと思います。この一作に限って言えば作劇力とかっこいい映像を作る能力とドラマチックな演出をする能力、全部持ってる。この↓インタビューすごい面白かったです。漫画を描ける人は映画を作れると言われていて、以前宮部みゆき先生も同じこと言われてたと記憶してるんですが、ほんとそれな~!って思います。映画を面白く作れる人は面白い漫画も作れると思うので、漫画も描いてください。嘘。もっと映画撮ってください。あと日本の漫画実写化やってみてほしい。そして孫ちゃんを出して欲しい。

OUTSIDE IN TOKYO / ギデンズ・コー『あの頃、君を追いかけた』インタヴュー

余談ですがこのインタビューによるとMV撮ってる人がカメラマンだったそうで。台湾版の下ネタシーンのカットを嘆いている方も多いみたいですが、台湾版のそれはMVの感覚があるスタッフでないと撮れない映像だと思うからそうじゃない日本版はばっさりカットで良かったと思います…日本人、そこまで下ネタ好きじゃないし。海外の人と仕事することも多いんですけど、アジア圏の人、信じられないくらい下ネタ(エロも汚い方も)好きだから驚くよ…。
なお、あの頃~の次の監督作「怪怪怪怪物!」がちょうどまさに今月末の10/26より、シッチェス映画祭コレクションという形で公開されるそうです。絶対観に行く~~!

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*1:孫ちゃん解釈だと詩子から借りたもの、監督解釈では浩介が自力で入手したものと分かれており、監督曰く正解はないので経緯や二人の関係をどう受け取るかは観客それぞれの感じ方で良いとのこと。

*2:恐らくは小説版の方が現実に起きたことに近いとは思います。

映画「あの頃、君を追いかけた」先行上映 ネタバレ感想

先行上映@仙台にて観てきました。観終わってから台湾版を観ようと決めていたのですが、その前に日本版を1回だけ観た状態での感想を残しておきたいので書きます。ネタバレありなので鑑賞後推奨です。正直にプレゼンすると、前半だるいけど終盤の素晴らしさでひっくり返すので観終わった後の満足度は高いし、おすすめしたいのは「君の名は。」より「秒速五センチメートル」が好きな人。わたしもそうです。母数少ない!
なお、仙台は大人になってからは2回目なのですが、前回素直に牛タン食べてきたら複数の出張族おじさんに「仙台は寿司!!!!」と力説されたので、総滞在時間は4.5時間だったんですけど映画前と映画後で2回食べてきました。仙台駅に直結してる範囲だけでもちゃんとしたカウンターのお寿司屋さんがたくさんあって驚きました。一番好きな光りものが充実してておいしかったー!仙台で食べるべきは寿司です。買うべきはシソ巻きくるみです。

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・きみおい先行上映仙台おわ。正直言って序盤は世界観がふわふわしすぎてていまいち引き込まれないんですが終盤、一気にパズルのピースがはまるように、振り返って見る日々の愛しさと尊さと、それに手を伸ばす浩介のからりとした寂しさにぶん殴られたのとほっとしたのとでびーびー泣きました。

・きみおい、わたしも半端な田舎育ちの冷めた優等生だったので真愛の気持ちは最初から最後まで「わかる」なんですけど、浩介がよくわかんないんですよね。世界の凹凸に自分がはまることができなくてひたすらに焦れてもどかしいことはわかるけど、肝心の世界の方がいつどこのどんな世界か曖昧すぎて、明確に作中で時代も場所も固有名詞がでてくるのに、どこなんだここは感がすごかった。さらに構成上、最初分かりづらいところがあるので余計に???なんですけど、最後の結婚式からの展開がもうめちゃくちゃによかった…もうほんとうにめちゃくちゃほっとしました。

・良かったことを確認した今だから言えるけどこの作品がつまんなかったら、面白くなかったらどうしようってまる一年ずっと悩んでたので…はーよかった ほっとした

・わたし喪失の物語に弱くて、小学生の時にマディソン郡の橋を観て大号泣したぐらい自身の経験に無関係に刺さってしまうんですけど、時間が不可逆である哀しみ、それでも振り返った時に遠くなってしまった日々の美しさ、二度と辿り着けない場所への郷愁、キミオイの終盤にはそれが全部詰まってた。


終盤、結婚式からの展開が最高に素晴らしかった。それまでの物語で観客にも、そしておそらく浩介(山田裕貴)と真愛(齋藤飛鳥)にも分かっていなかった、どこですれ違ったのか、どこが世界の分岐点だったのが手品の種明かしのように明かされる。欠けていたピースがぴしりと嵌って、完成されたもう一つの世界が、だけどその瞬間に永久に別たれてしまう。新郎にキスプレイした後、涙をこぼす真愛に向けた笑顔が言葉にできないぐらい最高だった。以前山田裕貴が持って生まれた天性の雰囲気は「いつも足りない何かを探している感じ」じゃないかと書いたんですが、その探していたものが目の前に現れたら、そしてそれを自分は永遠に手に入れることができないと知った時には、こういう顔をするのかと思った。この顔がみれて良かった。孫ちゃんの、この持って生まれた業のようなものがぴたりと物語の世界にはまる瞬間を見たくて追いかけてるようなものです。

こっからエンドロール終わるまでひたすらギャン泣きしてたのでちょっと色々曖昧なんですけど、そこから作家としてこの物語の話を書こう、という終わり方もすごい刺さりました。わたしは結局物語を生み出す人とその業が好きなので…もしも浩介が真愛に追いついていたら、もしも幼稚さを捨てて彼女にふさわしい人間になっていたら。パラレルワールドの浩介は物書きにはなっていなかったと思うんです。なぜ物語を書くのかといわれたら、それは自分が手を動かさなければ、この世界のどこにもその物語は存在しないからで、人間は持っていないものを求めるようにしか生きられないのと同じように、持っていないものを求めるためにしか物語は紡げない。そういう、自分が信じているものを肯定してくれるようなラストを、たった二年とはいえここずっと追いかけてきた人間が体現してくれたらそりゃもうおばあちゃんは大号泣ですよ…。エンドロールで推しの名前が真っ先に来て、その後もたくさんのスタッフやら協力企業やらがずーっと流れてるのを見るのは感無量です。Vシネだと一瞬で終わっちゃうからね!
ちなみにエンドロールは星空をバックに文字が流れる、というデザインだったんですけど始まりにひとつ流れ星が流れて、そこまでめちゃくちゃに感動してるのに、えっ流れ星ダサッと笑ってしまい、でもエンドロールみながらまたびーびー泣いてたらまーた最後に流れ星が流れて、そのダサさのダメ押しに泣きと笑いが一緒にきて大変でした。そのダサさも愛おしく思える出来で良かった。

序盤はねー、結構観ててもどかしかったです。浩介は空回りキャラだし、孫ちゃんも割と空回りキャラで、わたしは空回りしてる人をみるとあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っていたたまれなくなってしまうタイプなのであんまり楽しくないし。あとどんな理由があろうと授業の邪魔するような人間は嫌いなのだわ…もうちょっと浩介の所在のなさの理由が作中にあればよかったんですけど…小道具で匂わせてるんだろうなとは思うんですけど、カンフーや文学部を選んだ理由とか、天パ証明書を出さない理由*1*2とか。序盤はテンポも悪いです。最後の演出のためにあえて飛ばされてるシーンがあって意図的な構成でもあるとは思うんですけど、淡々と進む個々のエピソードが繋がってなくて話が見えにくい。浩介が自分という人間の輪郭がわからなくて、世界という枠と自分というピースをはめることができずに焦れていることは推測としてわかるんですけど、肝心の「世界」の方があまりにふわふわしているので、結果的に浩介の苛立ちもぼんやりしてしまって良くわからなかった。その微妙な前半を貫く棒のごとく、物語を成立させていたのは断然齋藤飛鳥ちゃん。わたしあんまり役者に技量とかそういうの求めないというか、圧倒的に「華がある」ことの方に重要性を感じるんですけど、さすが人前に出て、見る人を幸せにするのが仕事のアイドルは違う!すごい!やっぱりとにかく華がある。華が一番大事って八王子ゾンビーズ先生も言ってる。台詞の言い方や表情の動きが巧みかというと素人目でもそんなことはないんですけど、優等生で真面目ででもそんな自分をつまらなく感じている真愛というキャラクターにぴったりだった。以前にどこかで、高校生の青春物語は不器用でままならないのが魅力だから、10代のアイドルや新人が不慣れながらも一生懸命頑張ってる方がしっくりくる、芸達者ではないほうがいい的な話を見かけたんですけどまさにそれを体現してました。「時をかける少女」の原田知世さんが好きで、それ以上に当時の文化人が知世ちゃんに夢中になったのすごい分かりみが深いんですけど、それに近いものを感じました。あと、前半の浩介の分からなさに対して、真愛の気持ちは最初から最後まですごい「わかる」ので、謎のふわふわした世界観でも真愛目線で物語を追うことができたのは良かったなあと。これは自分が女で同じく田舎のつまんない優等生だったからかもしれないですが。さすが大人気アイドルグループだけあって、先行上映の客席は今までの現場で一番若い男性の比率が多く感じたんですけど、男性なら浩介の方にシンパシー感じて、真愛は何考えてんのかわかんねー!ってなるのかなあ。男女で真逆の感想を抱くのならお話としてめっちゃよく出来てるな〜!

真愛が台湾ロケ部分で着てる林檎柄のTシャツが尋常でなくダサくて、事前記事で公開されてから服がダサい優等生設定なの?そうでなきゃおかしくない?ってずっとディスってたんですけどここに関しては完全に手のひらクルーします。すみませんしたァ!このTシャツ、要は浩介からのプレゼントだったんですけど、ダサい上に真愛の普段の服の趣味と全然違うんですよね。そもそも真愛ちゃんはTシャツを着ないタイプだ。多分ぜったい真愛も心の中のどこかでは、えっこの服趣味じゃない…って思ったと思うんですよ。男で服の趣味が変わるタイプでもないし。にも拘わらず、浩介と会う時に毎回ちゃんと律儀に着てきてくれるのはどれだけ真愛が浩介を好きでいてくれたか。天下一武道会の時にこのダサTにこれまた趣味じゃなさそうなデニムを合わせているのは、どれだけアウェイに感じる場所にそれでも浩介のためにやって来てくれたのか。浩介は全然わかってない。気に入ってくれたんだ♪ぐらいにしか思ってない。いやわかってなかったっていう話なのでそれでいいですけども。橋で天燈を飛ばす前、「ずっと好きでいさせてくれ」って言い出した時はあまりの目の前の相手への向き合ってなさに、真愛ちゃんそいつ今すぐ橋から突き落として!って思いましたもん。ないわー。まじ浩介は川に沈んでこい。ここ、ちゃんとラストで回収されるんですけど、最高の演出だった。ほんの数歩、前に進んで真愛の横に立てば、真愛の角度から見れば答えはそこにあったのに。この時、浩介も一度真愛に貸して、期せずして林檎Tと交換するように返してもらったTシャツを着ていて、二人のお互いへの思いのいくらかは確かに重なっていたのがまた切ない。いくらかは重なっていたけど、でもやっぱりその林檎Tシャツは真愛の趣味じゃないんだ。

さて、大体いいところ褒めたんで、こっからトンチキパートにつっこみいれていいですか?観てないから憶測で話しますけど、、、台湾だからあり得る設定そのまま持って来すぎ~~~!

作中ではっきりと時代は2008年北京オリンピックの後、場所は南アルプスのどこかと示されてるにも関わらず、まじここはどこでいつやねんっていう感触が割とずっと続きます。軍隊みたいな女教師とか、盗難事件時の学校の対応とか、廊下でスクワットとか、卒業式の後にセンター試験とか、とにかくじわっと変でいちいち引っかかるんですよ。日本っておそらく世界で一番、学生時代を舞台にしたフィクションが多いのではないかと思うのですが、それって狭いながらも超長い日本のどこでも大体似たような学生生活が営まれていたり、さらにそれに基づいた作品が量産され続けていることで生まれる共通したコンテクストの上に成り立っていると思うんですね。良くも悪くも、観客にはその固定観念があるのに、良い意味での裏切りではなく単なる違和感になってしまってたのは残念だなあ。
学校描写もなんですけど、前期試験終わって合否発表の前、つまりどう遅く見積もっても3月なのに海行って夏服で遊ぶのは本当にどうした。ここはセカンドインパクト後の世界か?!(南アルプスです) この海が一番引っかかっちゃいました。このシーン、おそらくですけど受験の結果が分かる前に、高校生がお小遣いで行けてお金がかからない範囲で、でも最大限に受験だの進路だのといったものから離れた場所で、不確定な未来の話をするのが本質であり、行き先が海であるとかみんな夏服を着ているとかは本質ではないじゃないですか。南アルプスから海ってめちゃくちゃ遠いで?!知らんけど時間もお金もかかるやろ!太平洋側に行っても3月の海ってこんな半袖やノースリで遊べないし。近場の諏訪湖で冷たい!凍る!っていいながら水遊びするんじゃダメだったのか。
思わず台湾版のロケーション確認したら舞台の彰化という街はやっぱり海が近いところみたいで…あと、彰化からヒロインが進学する台北までって、特急列車で1時間半、3000円ぐらいなんですね。日本版では浩介は長野県内、真愛は東京に進学するんですけど、家が裕福でもバイトしまくってるわけでもない浩介にとって結構きつい距離なはずなのにその距離感が全然ないんですよ。新幹線なら1時間半だけど8000円かかるし、バスなら3000円だけど5時間かかる。台湾版の立地を確認して、あー1時間半・3000円の距離感だわってすごい納得しました。秒速~好きな人におすすめって書いたんですけど、新海誠監督は二人の距離と速度差に変態的にこだわり続けてる人なので比べたらあかんとは思うんですが、きみおいは速度差の描写はすばらしいのに距離感が変なんですよね…。台湾版に近づけるなら、舞台を熊本と福岡にしたらあかんかったんか、とか考えたんですけど、wikipedia先生の彰化のページ最後まで読んだら長野県と彰化県が友好提携してるらしくてあーーってなりました。あーーーーはいはいなるほどね!!こういうの、でもそれがなければそもそも企画が生まれなかったという側面もあるだろうだけに本当にせちがらいですね。不自然な箇所が全部台湾版に準拠したせいだったとして、リメイクである以上、大人の事情で自由に作れなかった可能性もあるからなあ。客からしたら1ミリも知ったことではないんですけどね。

くどくどとつっこみましたけど高校卒業したあたりからは世界観への違和感は割と気にならなくなります。これは観る側に大学生活には高校ほど固定観念がないからなかな。南アルプスに帰省してきた次の瞬間に台湾に瞬間移動してるびっくり案件も、その後のシーンがいいから許します。許しました。富士山の辺りとか、太平洋につながってる(と言われている)穴とかいっぱいあるしな。南アルプスと台湾がつながってても不思議じゃない。そうだね。
そしてやっぱりラストの、浩介と真愛が10年かけてたどり着いた終わりと始まりがすばらしい。結局10年ずっとすれ違いを重ねてきた、という話ではあるので前半のテンポの悪さやエピソードのとっちらかり具合に感じるもだもだが、結果として最後のカタルシスをより深めているので、本当に観終った後の満足度は高いです。あえて1回だけ観た状態でこれ書いてますが、回を重ねる毎に違和感は無視するようになるので2回目以降は絶対もっと良さだけを楽しめるだろうなーと確信してます。幽遊白書で、仙水が好きな映画として、本編はすごくつまらないけどEDがとても美しい作品をあげてますけど、やっぱりなにかを「好き」と思えるのって、全体的にバランスがいいのも大事ではあるけど、それよりもなにかひとつ、1シーンでも1コマでもめちゃくちゃに刺さる部分があることが自分にとっては大事なので、心からそう思えるシーンがあって良かった。それに尽きます。

 

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仙台駅直結のエスパルというビルの地下にあるすし哲さんで食べたとろ鉄火。忠臣さんの好きなとろだよ~!

*1:公式SNSの登場人物紹介に「父親譲りの天パだが大人になればストレートになると信じている」とあってそれかよ!そこに書くのかよ!ってなった

*2:9/18追記 完成披露で2回目観たらちゃんと詩子が「子供の頃から天パだけど大人になったら〜」と説明してましたので訂正してお詫びします

映画「ダブルドライブ 狼の掟」ネタバレ感想

イケタニマサオのおたくなので観てきました。以下、ネタバレ感想です。

 

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・ダブルドライブ観終わった…さ、さとうりゅうじくんのおたく生きてる?なお視界に入った範囲では息絶えてる模様

・席立ってトイレ行ってエレベーター乗ってる間に「りゅうじくん『は』かわいかった」と言ってる女子を三人見たぞ

・わたしはアベルが2回目に刺されたところでさすがに爆笑してしまった…草刈り鎌を持ったキチガイに2回も背中を見せるな。久しぶりに強烈なトンチキを摂取したのでこの興奮冷めないうちに帰ったらブログ書きます。やばい。ザムもびっくりの話のなさ。

・塩田丸雄になにがあったんだよ〜〜〜ちゃんと部下もいて芸能界にもツテがあって都内?横浜?に縄張りもっててぶいぶい言わせてたあの塩田丸雄が、屋号も変え相模原のクソ田舎に都落ちした上に地元のDQNと手を組んで身内ハメて小銭稼いでるなんて…嘘でしょ……

・闇ド大好き勢としては、塩田丸雄君にはあの木偶の坊みたいな部下に一発ハメられてひまわり金融を奪われて追われて相模原まで流れ着いてて欲しいな。信頼していた相手からの裏切りは闇ドのサビだから。ひまわり金融→フラワーファイナンスになってるの、大学名の地域と偏差値は反比例するに通じる感

・真面目な話をすると、闇金ものと車もの、相性悪いな…闇金の利用者は底辺なので50万だの100万だのの額が用意できなくて人生詰んでくし、そこに味わいがあるんだけど、ちょいちょい車のイメージ映像挟んでくるので金の話になるたびに「その車を売れば済むのでは?」となってしまう…

正直えええ…という気持ち。ボーダーラインはすごく振りきれてて面白かったのに…ダブドラだけみて話がわかんねー!と思った方おられたらぜひボーダーラインを観てほしいです。いいところもあったんですけどとにかく全体的に雑だったあ!閉塞した環境に旅の戦士がやってきて村を救い、村娘は戦士に惚れるけど戦士は村のお調子者をお供にして新たな世界へ旅立つ、っていうなんかジャンプ漫画の連載開始前の読み切りみたいな話でした。今回もやたら死人が出るし、キョウスケはホラーだし、腕とか指とかチープだし、70分しかないのに車のイメージ映像にかなり尺取ってるし(これは仕方ないとは思う)、広澤(弟)の死が話の縦糸なのに広澤(弟)がちらっとすら映らないのでそもそもの前提のとこがふわふわしてるし(これも仕方なくはあるんだけど…)、来月続編公開されるとはいえ全く話を畳まずに俺達の戦いはこれからだエンドだしなんだか全てがちぐはぐで、一体何を目指したんだ…あ、ジャンプ漫画の読み切りか。でも読み切りが連載になれるか分からないように、公開日も公開劇場も決まってた映画だってちゃんと公開されるかどうかなんてその日になるまで分からないんだからなっ。

我妻アベル藤田玲
今回もかっこいい役だった。作中特に説明もなくやたら喧嘩が強いんですけど(ハマのアベルという設定があってな…)(ボーダーライン観て)体格に説得力が合って、やたら強いことに違和感を感じないのはすごいなって思いました。弟分できたんですけど、こんな歩く死体製造機について行って大丈夫か。ボーダーラインではクールなようで実は幼いところが遠藤さんの弟分として良かったんですけど、兄貴分としてはどうなるのかなあ。とりあえず殺人鬼に背中を見せるな。あと借りたお金は返そう。70万はいいとしても30万は塩田からカツアゲしたようなもんやん。最後塩田さんからの催促ぶっちしてるとこひどすぎて笑っちゃいました。忠臣さんなら黙ってシボレー持ってってるぞ!
アベルが旧友のことを「大児くん」と君付けで呼んでいて、この君付け方針は全国津々浦々のヤンキーの隅々にまで普及してるルールだと思うんですけど、彼らは確かに分断されているのになぜかこういう共通言語を持っているのはなんだか辛い。
五十嵐純也(佐藤流司
顔がかわいかったし、そのかわいさが余計に他になにも持っていない感を増していてよかった。車持ってるけど。その車を売れ~!相模原に残っているから出来ることを訥々と話すところもよかった。わたしもまさに相模原みたいなクソ田舎で、でも最初からそこを出ていく前提で育ったのでイケタニ作品のこういうシーンを観る度に、なんだかよくわからない後ろめたさを抱いてしまうし、でもそれを定期的に確かめないといけないような気持ちになります。しかしクールなのかお調子者なのか、バカなのか悟ってるのかよくわかんないキャラだった。銃フェラはやればいいってもんじゃねえぞ!って思ったけど隣の席のさとうりゅうじくんの女(推定)をふと見たら、すっごい満面の笑みで口を押さえていたので、良かったねと思いました。
塩田丸雄(浪岡一喜)
どうした。なにがあった。闇ドの時のビジネスヤクザぶってるヤカラから一転、謎の色気マシマシの一匹狼になったんですけど本当に何があったんですか!!!!闇ドのおたくは新生塩田さんのためにダブルドライブ観て。闇ド脳なので最初塩田さんと大児くんで純也をハメた、つまりあの大麻のとこは全くの茶番かと思ってたんですが、大児くんの電話考えたらそこまでの下衆じゃなかったですね。塩田さんは塩田さんで結構お人良しなとこあるよなあ。ほんと何があった…ひまわり(=サンフラワー)金融からフラワーファイナンスに屋号替えということはサンが失われた、つまり闇堕ちしたということなの…?!
紅井レオ
どこへ行った。闇ド時空に転生して…。

 

ボーダーラインプレゼン記事です。

fu-ji-ko.hatenablog.com

映画「虹色デイズ」完成披露試写会&ネタバレ感想

完成披露で観てきました。無銭で観せてもらった時は公開までにちゃんと感想を書く、というルールを己に課してるんですけども、もともと感想必須のレビューサイトの枠で当たったのでそっちで感想書いちゃったらどうにも同じこと2回書く気になれないまま当日になってしまったのでマルチポストしちゃいます。以下、ネタバレ感想です。文が超よそゆきです。

 

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ぴあ映画生活さんに完成披露試写会にご招待いただき一足先に観てきました。
観終わった瞬間、楽しかった!!と声に出そうになりました。最初から最後までとにかく楽しくてみんなかわいい!物語としてはなっちゃん佐野玲於)が小早川さん(吉川愛)に想いを伝えるまで、そしてまりっぺ恒松祐里)がまっつん(中川大志)に向き合うまでを丁寧に追ったのみで、特に事件が起こるわけでもそれを解決するわけでもない、ひたすらに仲良し四人組の日常=デイズが綴られるのですが、ただそれだけがなんでこんなに楽しいんでしょうか。119分のどの10秒を切り取っても楽しい、最初から最後までニコニコが止まらない作品でした。
なっちゃん、まっつん、恵ちゃん(横浜流星)、つよぽん高杉真宙)。四人それぞれタイプの違う「顔が良い」面々が、その乾麺力を遺憾なく発揮してるだけでなく、容赦なく変顔をしてみたり、わちゃわちゃしたり。しかも四人ともお芝居が非常にうまい!ネットスラングまじりの大量のセリフを高速で掛け合っていくのですが、ほんのすこしのさじ加減で白けてしまいそうな内容なのにうまくテンポ良く回していて、監督が荒川アンダーブリッジの方と知って納得しました。
大人サイドの登場人物である田淵先生(滝藤賢一)、まーくん(山田裕貴)もとても良かったです。田淵先生がいかにも漫画なおもしろキャラなのに対し、仕事があり、家族があり、のまーくんは「大人」という異物としてこの世界に登場しますが、その眼差しはどこまでも優しい。一人だけゆっくりとした喋り方は、とめどなく話すまっつんたちの「今」っぽさを際立てていましたし、もうとっくに大人の側である自分にも、この世界が優しく守られていることが伝わってきて、あたたかい気持ちになりました。
自身も田んぼや畑がちらほらある地方都市で高校時代を過ごしましたので、自転車の範囲で友達とひたすらに喋って笑って過ごす放課後は懐かしくもあり、しかしそういったノスタルジーを感じる作品というよりは、今の高校生の日々に自分も混ぜてもらって一緒に笑いあえるような映画です。高校時代が遠くなってしまった大人でも、誰か一人でも好きなキャスト、気になるキャストがいれば目一杯楽しめる作品ですのでぜひ。


よそゆき文、ここまで。
面白かったです!限りなく環境映像に近い楽しさ。仔シャンシャンが木に登ったり、ごろごろしたり、ママパンダにじゃれついたりしてる動画って特に何も起きないですが永遠に見てられるじゃないですか、あれに近い。最初から最後までずっとみんなかわいくて脳みそ空っぽにして観れます。あとゲーム実況好きな人は特に楽しめそうって思いました。MSSPとかああいうやつ。
あんなに一世を風靡してたスイーツ映画が今全然振るわないみたいで、とな…も結構面白かったのに発表された興収見てひえってなりました。大人からはもうスイーツ多すぎ飽きたとか、難病もの多すぎ飽きたとかここ何年も聞き続けてるんですけど、でも去年までは親に連れられてプリキュアとかポケモンを観てたけど、中学生になって初めて自分のお小遣いで友達と一緒に映画館にきました!っていう年齢の女の子は毎年毎年50万人ぐらいいるわけじゃないですか。だから大人の「見飽きた」っていうのはあまり意味はないし、わたし自身初めて映画館で観た(らしい)作品のことは全く覚えてないけど、初めて自分のお金で映画を観た日のことは今もはっきり覚えているしきっと一生忘れないので、初めて自分で映画を観る子のために、各制作会社の人達には「キラキラ映画じゃありません*1」なんてだせーこと言わずに自信持って全力でキラキラ映画作って欲しいんですよね。なので女の子向けでありつつ、虹色デイズみたく新しい路線を目指したものには当たって欲しいんですけども…何が流行るかなんて世に出してみないとわかんないもんなああ。しかしここまで右肩下がりだと、もう10代の女の子のお金の使い道に映画館で映画を観ることは入っていないような気もする。わたしは誰もが向こう何十年も安泰だと思っていたひとつの娯楽がほんの2~3年で更地になったのをリアルタイムで見たので、映画だって滅びる時は一瞬で滅びると思うんですが、滅びられては困るので頑張ってほしいです。


なっちゃん佐野玲於
So Cuuuuuuuuuuuuuuuuute!!!さのれおが棒とかいう評をいくつか見かけて、いやいやいやさのれおはシュガーレスの頃から良かったやん!どこが棒だよ!!って瞬間的に腹立ったんですけど、よくよく思い返してみたらザム2の時にさのれおとZENくんうまなったよね、前やばかったのにねって友人と話した記憶があるのでもしかしたら過去にさかのぼって記憶を改ざんしているのかもしれない。自分の記憶が信用できなくてこわい。とりあえず虹色デイズのさのれおは棒じゃないしかわいいしいじらしいしおもしろいしいとおしいです。EXILE一族ってことで、HiGH&LOW摂取前のわたしのようにEXILE界は自分とは別のステージの世界だからと避けてしまうだろう人がまだまだいるだろうのはかなしいなあ。LDHはいいぞ。ジェネは俺たち向けのコンテンツだぞ。

まっつん(中川大志
福士蒼汰激似と言われてますし、実際前までは似てるなーと思ってたんですけど、顔が成長したのかもうあんまり似てなかった。完成披露の時はまだ未成年とかうそでしょ~~~?!まだ顔変わる年なので最終的に福士くんとは全然違う顔に落ち着きそう。演技うまいしトークうまいし、登壇者の中で一番しゃべりが巧く感じたんですけど、考えたら男性の中では最年少なんですよね…。タレント力って年齢じゃないんだなあ。なんの根拠もないですが、将来イケメン俳優兼タレントとして情報番組で料理コーナーもらってオリーブオイル回しかけてそうな気配がぷんぷんする。

恵ちゃん(横浜流星
作中ですごいいい子なのに相手がいなくてかわいそう。キャスト一覧だけみて消去法で千葉ちゃんかと思ったら違うかった。CP厨だから余りいるの許せないのだわ。中の人はビジュアルからもっとふわっとした人かと思ってたらすごいウェイの気配を感じてびっくりした。

つよぽん高杉真宙
相変わらず何考えてるか分からない顔をしているので何考えてるか分からない役がめっちゃ似合う。

小早川さん(吉川愛
ハイスペ司法修習生福士くんのstkしてるJKめっちゃこわいけどかわいいな!とか、崖っぷちホテルの最初のゲストのJKめちゃくちゃお顔が好みだな!とか、最近わたしの顔がいいセンサーが反応すると大抵相手は吉川愛ちゃんなので気になっています。吉川愛ちゃんと放課後デートできるさのれおが憎い。すっごいかわいいのにおっさんみたいなくしゃみするシーンがあってそれがまたかわいいんですよ~~~!生で見たご本人もめちゃかわでした。写真集お渡し会とかしてほしいな。お渡されたい…。

まりっぺ恒松祐里
おいおいそれツンデレで許されるレベル越えてるだろってぐらいツンがツン過ぎてるんですけどかわいいから許した。まりっぺが小早川さんのことを好きなのも、小早川さんがまりっぺのこと大事にしてるのも、双方に双方とも説得力があってよかった。

千葉ちゃん(坂東希
千葉ちゃんはなっちゃんのことが好きだと思ったんですけど違うの?

ゆきりん(掘田真由)
こういうお嫁さんが欲しい。

まーくん(山田裕貴
わたし九十九さんのこと大大大好きなんですけど、それでも頭にタオルを巻いているからっていうただそれだけの理由で、青柳翔の役では九十九さんよりワイルドヒーローズのミッキーの方が好きなんですよ。それぐらい頭にタオル巻いてるのが性癖なんですが、虹色デイズではとうとう孫ちゃんが頭にタオル巻いているので死ぬかと思ったし、さらに坊主だし作業着だし土方だし軽トラ運転してるしなので死んで宇宙が一巡した後の世界に転生してきましたって気分です。デメキンでは首にタオルで惜しい!ってなったんですが、ついに頭まで来たんだなあ…ありがとうございますありがとうございます。次は天使の輪っかのごとく頭上にタオル浮かんでる役が来るに違いない。坊主状態で撮ったの、これときみおいだけなのかなあ。あと20作ぐらい撮っといて欲しいんですけど。どうでもいいけど、まーくんが作業着の中に着てるシャツ、わたしが何年も寝る用にしてるシャツのうちの1枚とまったく同じデザインなので見る度に孫ちゃんがわたしのパジャマ着てる…って気持ちになります。なってみて初めて気が付いたけど推しに自分のパジャマ着られても特に嬉しくはならないですね。あとまーくんはぱっと見は昭和のドカタの兄ちゃんなんですけど、煙草がIQOSだったり軽トラの鍵がリモコンだったりしてダメージを受けました。昭和どころか平成も終わっちゃう!
メイン四人がかなり早口なのに対し、まーくんは一人すごくゆっくり話すので、出て来た瞬間ゆっくり実況か!って笑ったんですけどその違いがそのまんま今の高校生と、もう高校生じゃない大人との違いになっててよかった。妹思いの優しい大人ということはめっちゃ分かるんですけど一方でこいつ情緒が雑な人間だ、というのもすごい伝わってくるので、まりっぺがああなのお前のせいやんという気はなきにしもあらずなんですけどかわいいから許しました。それはわたしの推しだからとかでなく、デメキンの合屋厚成といい、亜人の高橋といい、山田裕貴のダメ人間役にはその顔で笑われたらしょうがないよなあって思わせるオーラがありますよね。顔面が免罪符だ…。完成披露でそれぞれが告白シチュをするコーナーで付き合ってくれ土下座してて、推しの生土下座見るの1年ぶり2回目…ってなったんですけどそんなんよりその顔で笑っててへぺろした方がなんでも許されると思うぞ!
虹色デイズ、「高校生活」としてかなり閉じた世界なんですけど、そこにまーくんという異物を置くことでその外にも世界が広がっているであろうこと、だからこそ高校3年間の日々が閉じていることの優しさを感じられるし、そういう大事なポジションを孫ちゃんがきっちりこなしているのは嬉しい。あとビジュアルが性癖ど真ん中で本当に本当に嬉しい。まーくんの衣装を選んでくれた人にお中元贈りたいです。くそお世話になりましたァ!!

 

公式がこんなこと言ってるのでHiGH&LOWのおたくのみなさんもぜひ。夏祭りでは平沼Pがテキヤやってるよ!

*1:もちろん見飽きてる人に向けての発言なんでしょうけど、これをPや監督が言う作品はもれなくつまらないので、これを言う人のことは絶対に信用しません

映画「ウタモノガタリ」ネタバレ感想

TAKAHIROと「カナリア」の松永大司監督の舞台挨拶付きで観てきました。日比谷12時回のTAKAHIRO「エロ本は教科書」、させていただくは11回でした。今まで実物を見たことのあるLDHメンの中で一番映像より実物の方が輝いてるのはTAKAHIROなんですけど、今回もすげー金粉ふりまいてました。歌うまいって言われてそうなんですよって返すとこめっちゃ好き。おばあちゃんだから拝みたくっちゃう~!

 

youtu.be■ファンキー
岩ちゃんがカメラに向かってニッコリしながら踊ってると全て許してしまう。許した。

 

youtu.be■アエイオウ
あゝ、荒野で芳子をやってた木下あかりさんが再び汚部屋住人をやっていた。LDH興味ない人の白濱亜嵐のパブリックイメージ*1って「女運が悪い」じゃないかと思うんですけど、「だから1回やっとけばよかったんだよぉ」のセリフが妙に真に迫っていてうわあああてなった。あそこで「どんな嘘も信じられたのに」って言うのめっちゃええ子やん本当に好きなんじゃんって思うんですけど、そういう言葉では繋ぎとめられない女を選んでしまうとこがさあ…(フィクションです)自衛隊とか兵器とか日本では失われたアジアの母音とかなんとなく言いたいことは分かるんですけど、テーマよりも人をぞわぞわさせる映像の巧さの方が断然気になりました。途中おばあと白濱亜嵐が暗闇の中に浮かぶ櫓で向かい合って話すシーン、その闇の中にみっしりと人ならざる何かが蠢いているような気がして、五十嵐大介先生の「魔女」をこの監督ですごい観たいって思った。もっとちゃんと尺のある作品観たいな…とぐぐったら安藤桃子監督って安藤サクラの姉か!高知のお坊さんと結婚して離婚した人か!このアニミズムとかシャーマニズムとかそういう路線で、かつ退屈じゃない映画作ってほしい。観てみたい。

 

youtu.be■幻光の果て
ダンさん「サメと戦う映画とかどうすか?こう人食いザメがバーン!銛もってデヤーッ!みたいな」
スタッフ「サメ用意する予算がないからイマジナリーサメで我慢して」
こういうことですか?分かりません!
海に飛び込んで相手を試そうとする究極構って系ナオンとの事後みたいな描写があってこれは山下健次郎くんの夢女子兼腐女子の友人は死ぬのではと心配しながら観てたんですが、過去を捨てて(推定)南国の島(推定)に流れついたモブおじさん(ロマンスグレーもじゃもじゃ)(ヒゲ)(距離感狭い)に、現実を見ろ!と肩をがたがた揺さぶられてからのぎゅっと抱きしめがあってこういうの百万回読んだわってなったので安心して観てほしい。山下健次郎くんってほんと…ほんと…うん。この作品だけがギリ曲と映像のマッチングをしようとしていて良かったです。なお残り5本はお察し下さい。ウタモノガタリなんて西尾維新みたいなタイトルを付けた意味とは。余談ですが、ファンキーで平泳ぎする岩ちゃんのフォームを見て、この動きで前に進める…?って不思議だったんですけど、平泳ぎする山下健次郎くんはやっぱりちゃんと前に進める動きをしていたので、岩ちゃんは平泳ぎができない疑惑が全わたしの中で話題です。

 

youtu.be■Kuu
放送事故かと思った。きみょうなおどりを踊る三つ子?三姉妹?はとっってもかわいい。

 

youtu.be■OurBirthday
青柳翔のプロポーズシーンだけで観た甲斐はあった。やばい。胸がギュンギュンする。しかしヒロインが再現ビデオの匂わせマウント女のテンプレみたいな演技と演出だったのはなんだったんだ…これぐらいやらないと結婚できねえぞお前ら!ということなのか。ううう。冒頭で振られてたバリキャリの方が女受けは良さそうなのがまた…。ここまで5本中3本が死んだ女の幻を追う話で、なんかこう事前に監督集めてネタかぶり防止の打ち合わせとかしなかったのかな?という気持ちになる。

 

youtu.beカナリア
6本中4本が死んだ女の幻を(略)嘘だろ…むしろそれが今回のテーマなの…?たかぴろが啓司さんみたいな髪型、啓司さんみたいなお衣装、啓司さん(ぼーっとしてる時の)みたいな表情で出てくるのでちょっと混乱する。この作品が一番演出も言いたいことも分かりやすいというかほぼドキュメンタリーでした。体育館で音がフラッシュバックするシーンはかなりキツくて、まだ震災時の映像が見られないような人にはちょっと無理な気がして大丈夫かな。しかしたかぴろは雅貴といい、普段自分を抑圧して生きててそれを爆発させるけどまた抑圧生活に戻る、という役がめちゃくちゃしっくりきますね。

*1:わたしの周囲調べ

映画「万引き家族」ネタバレ感想

公開二日目の舞台挨拶付きで観てきました。小説版やメイキング番組はノータッチで本編のみ。万引き家族だけでなく「そして父になる」なんかもネタバレしてます。余談ですが、TOHOシネマズ日本橋でヅカライビュみたときにプレミアボックスシートの隔離感に感動して今回も同じ席種でとったんですけど、六本木のTOHOは壁が高さも幅も日本橋と全然違っててボックスシート界のレオパレスって感じなので気を付けてください。

 

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観た直後のtwitterから。

万引き家族、すっごく疲れたしこの後また木曜に観るのか…ってなった。一週間ぐらい間あけて気力回復してからにさせて欲しいな 上映前舞台挨拶でよかった。後だったら死んでしまう…劇場でて、あったかいものお腹にいれてようやくひと心地ついた感じ。

・映画は娯楽だと思ってるので、世界が閉じてる作品が好きですが、そういう意味では万引き家族は完全に開いているし、ラストシーンもエンドロールの曲も、どこにもエンドマークはつかない。本編観て、舞台挨拶見て、出てきたところが六本木ヒルズってしんど過ぎるわ。

・11時回の挨拶で監督が(安藤サクラさんが評したように)納豆ご飯のように毎日観てもいい作品なのでぜひ繰り返し足を運んでもらって~といってて、正気か?!って思った。いやそう言うしかないけどさあ。気力と体力に余裕あるときしか観れないよこんなの

万引き家族、予想以上に現実に今起こっている事件とリンクしててすごいしんどかった。監督側が言及することはできないだろうけど…「作った」のではなく「作らされた」のだと感じたりするのかな。これが今という時代としか言いようがない。

・是枝作品では花よりもなほそして父になるが好きなんですけど(察して)、そして父になるを観た後の気持ちが自分の持ってる幸福に感謝してより善く生きよう!(前向き)なのに対して、万引き家族は自分の持ってる幸福に感謝してより善く生きよう(呪い)って感じ。

・推しちゃんはきつい顔とかわいい声のアンバランスさが一番の魅力だし、それが人を不安定にさせて揺さぶりをかけるとこが良いと常々言ってるんですけど、北条保役はそれを遺憾なく発揮してましたね…出番一瞬だったけど、これ以上やっても生々しくなるし、ほんの一瞬で必要な情報と気配を出しきってた

・整った、整えられた容姿とその内側の荒んだ暴力の気配がさあ…突然爆発しそうな不安定さもぴったりだし、監督、オーデしたときすげーいいの見つけた!って思ったでしょ?!ってきいてみたい( ◠‿◠ )

万引き家族、ゼリー二本を渡す柄本明は燭台もあげたという司教のようであるし、りんはフォンティーヌだし、立体交差から落ちるのは欄干から落ちるのを想起させるしもしかしてこれもレミゼなのかという疑惑が…何よりどんな環境に育っても受けた愛によって善き心は生まれ出ずるというのはもろレミゼやん

レミゼ、マイベストオブよくわからん話なので、世の中の人のレミゼ好きやな!という状況に接するたびに、そ、そうなんや…という気持ちになる みんなレミゼ好きだよね…

前回「うなぎ」がパルムドール取った時に、海外の権威ある賞を取った作品ということで普段その手の映画を観ない人たちがわざわざ観に行ってぽかーんとなってるらしいという空気だけはぼんやりと覚えていて、是枝作品は割と好きなのでちょいちょい観てるんですけど今までのが取れなくて今回取ったということはそういうことなんだろうなあと思って観に行きましたが大体予想通りでした。フランス人、ゆがみねえな~!

2回あるうちの上映後に挨拶がある方をとったんですけど、しんどすぎて挨拶パスして帰ろうかなって割と本気で迷ったし(ちゃんと見た)、終わった後、ヒルズでご飯食べてたら隣の席でIDぶら下げた休出らしきリーマン二人組が当たり前のように3000円のランチを食べて仕事に戻っていったのも、他店と価格帯が全然違うヒルズ内のアローズでカットソーを手に取ったらメゾンマルジェラで、値札にうへあってなりながらそういえば登壇時の安藤サクラさんは赤のTabiパンプス*1履いてたなって思い返すのも、土曜の午後のヒルズにあふれている犬連れてベビーカー押してる、つまりここまで徒歩か自家用車で来ることができる環境の家族連れの山を見るのも全部全部しんどかった。こういう作品を観た後に「感動して泣きました!人間として観るべき素晴らしい映画です」と言える無邪気さが欲しいなって思うし、でも死んでもそんなくだらない人間にはなりたくないと思うし、そう考える自分の性格の悪さと潔癖さが嫌になるし、最終的になんで1800円と2時間を払ってこんなに嫌な気分で劇場から帰って、さらにその気持ちを数日ひっぱらなきゃいけないんだという結論になるのでやっぱり社会性の強い作品ってあんまり好きになれないんだよなあ…。
でも映画としてはやっぱり面白いし、よく出来てるって思います。退屈さはないしちゃんとエンタメもしている。2時間の大半を一見どうってことのない日常の描写にあてつつそこにしっかり色々仕込んで飽きさせないってすごい。是枝監督、好きだけど嫌いだ~!この人絶対性格悪いし、でもその性格の悪さがそのまんま面白い映画を作るスキルにイコールだなって改めて確信しました。0から1を生みだす力って何かを持っていないところから生まれるんだよなあああ。エンドロールでリリーフランキーの名前が先に出てきたことに驚いてしまったぐらい、安藤サクラを観る映画でした。尋問で泣くシーンもやばかったけど、面会室で祥太を拾った車の話をするところでタオルがぐっしょりするぐらい号泣した。あんなん辛い。観ていて気持ちの持ってきどころがない。

そして父になる」は福山雅治が入れ替え犯の看護師のところに慰謝料を返しに行ったら継子が母を守ろうとするところで一番わんわん泣いたんですけど、あのシーン、正義は100%福山雅治の側にあって、でもその正義が情に敗北するところに観客はカタルシスを得るわけじゃないですか。そもそも「そして父になる」も答えなんてない話ではあるんですけど、もしこの話から少しでも世界を良くするためのなんらかの具体的改善策を出すとするなら「新生児室のワンオペはダメ絶対」ぐらいで、起こってしまった時点で「答えなんてない」が答えなんですよね。ものすごい意地の悪い言い方をするならば、そして父になるは高学歴高身長高収入でかつ最高にイケメンの、いわば大衆にとっていけすかないポジションである福山雅治が、にも関わらず大衆の愛と情に敗北し、そのかたくなさを捨てて心を開くまでの物語でもあるし(ついでにそのかたくなさにもちゃんと納得可能なバックボーンがあるので福利厚生が手厚い)観客は良心の落とし所を探す必要もなく、泣きたいだけ泣いてデトックスして良い話だったねーで帰れるんですけども、万引き家族にはそれがなくて本当にしんどい。
信代(安藤サクラ)には愛があった。治(リリー・フランキー)は「(盗みの他に)教えられることがなかった」と言うけれど、愛されていなければ人を思いやる子にはならないという世界において、盗みしか教えられなかったはずの祥太(城桧吏)は、妹に盗みをさせてはいけない、こんな生活は終わらせなければいけないという正しさを持った子に育った。初枝(樹木希林)はちゃんとそこそこ幸福な気持ちで家族の中で死んでいったと思う。対して、お金があり、利発な妹の存在によって子供への教育も行き届いていると示されている家庭でも、そこに居場所がなかった女の子がいる。役者陣の演技の良さは言うまでもなく、全てに説得力があって、身を寄せ合って生きている家族の描かれ方があまりにも優しくて、観ている間は自然と気持ちが一家の方に傾くけど、でもそれじゃダメなことを観ているこちらは知っているわけじゃないですか。賢いスイミーは皆で集まればマグロにだって食べられないというけれど、でも本当は、正しい教育にアクセスできれば一人でもマグロのサイズまで成長できることを知っている。祥太は絶対に、少なくとも自分で生きていけるようになるまでは絶対に信代と治の元に戻ってはいけないし、その当たり前の正しさをもって彼らの情を殴らなければいけないのは辛い。
映画のラストはゆり(佐々木みゆ)が団地の廊下のフェンスの外を見つめるところで終わるんですけど、その姿はただ座り込むしかなかった半年前とは違い、フェンスの外に世界があることを、ビー玉の中に海をみる力を知っている。もう少しでフェンスに手をかけて自分の力で越えていけそうにも見える。誰かがやってきて、その気配に気付いて顔を上げたようにも見えるし、希望は示されている。だけどやっぱりあまりに小さくて、小さいが故に死んでしまった子供がいることを観ているわたしは知ってるんです。仲間に出会う前、スイミーの兄弟はみんなマグロに食べられてしまっていて、それはつまり小さくて弱かったから死んだわけです。わたしは心が狭くて性格も悪いしあんまり善い人間ではないけど、それでも目の前で見知らぬ子供が井戸に落ちそうになってたら助けるぐらいの善良さは持っているしちゃんと働いてちゃんと納税して、たまに赤信号ぐらいは渡るけどもちゃんと法律とルールを守って生きてるんだからそれで赦してくれよって思う。アフリカで餓死する子供とか、この日本でご飯が食べられない子供とか、毎月高い税金払ってたまに小銭を募金箱に入れたりしてるんだからそれでなんとかしといてって思う。わたしの良心に揺さぶりをかけることを、後ろめたさを背負わせることを感動の代替にしないでほしい。

6月6日以降にこの作品を観たなら、嫌でも今話題になっている事件*2のことを想起せざるを得ないわけですが、もし事件のことがなければ、ラストシーンにもっと純粋に希望だけを見出せたのかな。ゆりに関しては監督が想定したものとは違った観られ方をされてるだろうし自分もしてるけど、こればっかりは記憶を消して観ることはできないので分からないです。最後にゆりのカットになって、あ、全然オチついてないけど多分ここで終わるわって察したらその通りに終わって、ダメ押しでエンドロールの曲までジャーンとかババーンとかなんかそういう終わりっぽい音がなくスッ…と途絶えて劇場が明るくなった瞬間に現実が後ろから殴ってきてしにそうになった。嫌だな。このタイミングなことも、それは氷山の一角で年間何万件も相談されるほど虐待が起きていることも、それを見ない振りして毎日生きてるのも、実際にしばらくしたら忘れてしまうだろうことも全部嫌だ。
ただ、観客の首根っこ掴んで、あなたの足元に小さくて弱いために死にそうな小魚たちがいますが今あなたに助ける力はありませんと突きつけるのは、それを自分の記名で行うのは、ものすごく胆力がないとできないよなあとは思います。映画に限らず、世の中に面白い作品を生み出す人はいっぱいいるけど、冷酷になりきれずに作中に救いを入れてしまう人はけっこういるし。この作品が世に出ることで世界は少しでも良くなるのかなあ。そう信じて作るしかないのだろうか。そう信じるしかないし、万引き家族で儲かるだろうお金で、また次の作品も好きに撮ってくれ。

北条保役の山田裕貴はいろんなところで「虐待してそうな顔」って誉められてるのを見かけて笑ってしまいました。虐待してそう顔 is Beautiful。でも本当にその通りだし、孫ちゃんの整った顔のその下の腹の中に溶鉱炉抱えてそうな危うい感じがめっちゃ好きだし、だから合田雄一郎をやってほしいって100万回言う~!ぼく明日を上回る出番の少なさでしたが、公開されてる場面写真の中に作中にないカットもあったので、もしかしてもっと撮影してあったのかなあ。だとしても観て楽しいシーンじゃないような気配がプンプンするし、そうじゃないシーンだったとしても無駄に虐待父に理由付けされるのもそれは違うと思うのでこんぐらいでいいのかな。過去のインタビューか何かで自分の声にコンプレックスがあるともとれる発言を読んだことがあるのですが、冒頭の罵声のシーン、もっと低くて太い、わかりやすい粗暴な声だったら罵声の記号として流してしまいそうなところ、あのかわいい声質がめちゃくちゃ心に引っかかるように効いてるので、孫ちゃんが自分の声をこの声で良かったなって思えるひとつになっててくれたらいいなあ。
顔といえば祥太の聞き取りを担当する刑事(高良健吾)が、ザ・正義という顔面をしていて良かったです。スーパーの屋上でやってるヒーローショーのレッドがマスク脱いだらあの顔で笑ってそうって感じの顔。板きれに正義って書いた書き割りのごとく正しい顔をして正しいことを言ってくれるので小市民としてはほっとした。駄菓子屋の店主(柄本明)も作中の良心だけど死んじゃうしね…。

fujipon.hatenablog.com

この記事のおかけで文化庁助成金、儲かったら返還するルールなのを知りました。あげっぱなしなのかとばかり。ちゃんと運用されてるじゃん~!今孫ちゃんの出演作で一番興収いいのってホットロードの25.2億円のはずなんですけど万引き家族はそれを越えそうなのでそれはとても楽しみです。出番少ないけどな~!万引き家族観たよって話をしたら、明らかに他の映画より周囲の喰いつきが良いし普段映画の話をしない人までが話すようになると社会現象だ?!って感じがする。自分の好き嫌いとは関係なく、推しの出てる作品の出来が良くて流行るのは無条件で嬉しいです。

*1:翌日の挨拶でも履いてたので私物かも

*2:もし自分が何年後かにこのエントリを読み返したときにどんな事件だっけ…となることが嫌なので記しておくけど、2018年3月に目黒区で5歳の女の子が両親からの虐待で亡くなった。6月6日に警察が女の子が残していた反省文を公開したことで、ここ最近はずっとその事件について報道されている。

映画「孤狼の血」ネタバレ感想

非実在ヤクザが好きなので観てきました。原作は未読・ネタバレありの感想です。

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事前プロモーションをちらっと見た感じでは仁義なき戦いの路線を推してたので、てっきりヤクザヤクザヤクザそしてヤクザな作品かと思いきやかなりミステリ色の強い話でした。バイオレンスノワールを予想してたらクライムサスペンスでした、みたいな。小指が吹っ飛び乱舞したり血しぶきが桜吹雪のごとく舞い散ったりするのを期待して行ったので、肩すかしくらった感は否めないですが、ちゃんとよくできててちゃんと面白かったです。観終わった後、これは絶対に原作が面白いやつだし、面白い原作を丁寧に実写化した面白さだなあと思いました。これ、任侠ものというより社会派の警察ものでは?と思ってぐぐったら原作は警察小説のカテゴリなんですね。納得。もっと中身に即したプロモーションをした方が良いのではと一瞬思いましたが、そうすると生首とか豚の糞とかで脱落しちゃう人が出るのでこの売り方しかないんだろうなあ。ちなみに地元のシネコンで観たら両隣ともわたしの親より年上世代の結構なおじいちゃんだし、全体的におっさんとおじいちゃんで埋まってておお!と思ったんですけど、おじいちゃん二人とも寝てるかトイレ行ってるかだった。うーん。二人とも予告の時点で入眠してたので世の映画館は孤狼の血に限っては予告短くするか省略してあげてほしい。面白いものを作って、それを面白がれる人のところにきちんと届かせるのって難しいですね。
警察ものといいましたが、警察サイドがガミさん(役所広司)と日岡くん(松坂桃李)のメインコンビ以外は抑えめなのに対して、ヤクザサイドはヤクザの乙女ゲーかな!?ってぐらい渋くてかっこいいのから若くてかわいいのまで取り揃えられていました。観れば必ず誰か一人は推しヤクザが見つかると思います。わたしの好きぴは断然一之瀬さん(江口洋介)だよ♡


日岡くん(松坂桃李
居るな、と思うことはあってもあんまり今まできちんと観たことなかったんですけど、今回観てこの人なんでもできるなって思いました。演技の幅が広いというより、作中世界で無色透明な存在としてあることができるというか。wiki見たらラインハルトやったことあるんだ…えええ…。ちなみに作中、一番ハラハラしたのは死体掘り返すとこでもガミさんが去ってくとこでも真珠取り出すとこでもなく、日岡くんがスクラップブックを人ごみの中で丸裸のまま持っていたところです。いつ引ったくられるかとすごいハラハラした。

尾谷組の鉄砲玉・永川さん(中村倫也
最近観る作品観る作品にいる。かわいげのあるかわいくない奴をやらせたら天才かと思う。ホリデイラブ・わたるんのDVシーンでも思ったんですけど、暴力役多い割に、パンチ軽いですよね!?猫パンチか。崖っぷちホテルの厨房組が今わたしの中でめちゃくちゃ萌えなんですけどはやくえぐはる結婚して江口さんの猫パンチを華麗にかわしたハルちゃんのおたまアタックにKOされてほしい。

ここからはデメキンキャスト。3人も出てるしもうみんなかわいいんじゃ~!

梨子ママの彼ぴ・柳田(田中偉登)
全世界満場一致でわんこかわいい系にカテゴライズされる人だと思うんですけど、今回もすごいわんこだしベッドの上の土佐犬だし犬の鳴きマネまでしちゃうしでかわいすぎる…しんでしまう…と思ったら本当に死んだし本当に犬死だった。坊主頭が男子テニスのジョコビッチみたいにみっちり詰まってる感あってすごい触りたい。

五十子会故人・金村(黒石高大
写真と死体だけで出番終わりか?とハラハラしたら一瞬だけどちゃんと生きて動いてるシーンあってよかったです。ギョロ目好きなのでやっぱりこの人の顔、好き~!

養豚場の息子・善川大輝(岩永ジョーイ)
シャブキメてるみたいな目をしてるなと思ったら本当にシャブキメてる目という伏線だった。すごいな。シャブキメてるみたいな目をしてくださいって一度も言われることないまま役者人生を終える俳優の方が圧倒的に多いと思うんですけど、ジョーイくん、少なくともあと5回は言われそう。平成生まれのアメリカ育ちのはずなのに、昭和の地方の男子が着てたロゴ入りトレーナーがこんなに似合ってしまうの、どういうことなの。