強く生きる

HiGH&LOWと山田裕貴関連用。本業はオタクです。

安藤忠臣はすき焼きが食べたい(闇金ドッグス8ネタバレ感想)

初日に観てきました。シリーズ8作目にしてちょっとうーーんってなってしまった。5を観た後ともちょっと違う。話自体は嫌いじゃないんですけど、演出のさじ加減がどうにも肌に合わなくて、結果的に面白かったよりもつまらなかったの方が上回っちゃったな、という印象。ただ、おんなじ映画を何回も観るという行為を繰り返すうちに気付いたんですけど、初見時に気になったアラや違和感は観れば観るほど脳が自動削除処理するのか、良いところだけを拾うし面白さが勝ってくるので今までのように初日に2回観れていたらもう少し評価は高くなったかも、と思います。大きいスクリーンで忠臣さん観たいのであと1回は観に行くつもり。とはいえそもそも映画は二回も三回も観に来てもらえる前提で作るものではないので、初見の印象で感想書きます。

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とにかく今回はちょこちょこ挟まるおもしろ演出が合いませんでした!特にあかん合わないってなったのは自動給餌器と、土偶割ったとこ*1とおもしろじゃないけど最後目を開けるところ。おかしいことは分かって作ってるはずですし観る側は後出しジャンケンできるのでいちいち突っ込むのも無粋ですけど、まああんなことして生きてられるわけがないし、3日後締めで請求とかあり得ないし、そういうところにいちいち引っかかってるせいで本筋に集中できなかった。2でななえハメるために忠臣さんが偽の指輪を準備するところ、指輪はオモチャみたいな真っ赤な偽物でしたけど入れる箱はちゃんとしたものを用意してたじゃないですか。すぐ前の記事で映画は嘘で作り物で偽物でって書いたばかりですが、大きな嘘をつくためには小さなほころびは丁寧に閉じておいてほしい。自分がそういうのが全然ダメな人間かというとそんなことはなくて、えりながオッケグーにエンドレス搾取されているのも、借金持ちがウエストポーチに札束入れて毎日同じところを走っているのも同じぐらい変だったと思うけど、それらは気にならなかった。てか今回も卵カチャカチャカチャカチャしてるのとかは面白かったし、ゲス一家三人は三人ともいい意味でカラッとした演技であそこまで鬱な展開を笑えるドタバタにしてたし感覚の問題なんだとは思います。特に胸糞な話だからこそ合間合間に笑える演出を入れたんだと言われればまあそれは正しいのかなという気もする。わたしは本当に闇金ドッグスが好きなおたくなので、映画館で観た後もレンタルが始まったら即借りに行くし、ついでに何本入荷して何本借りられてるかとか他のジャンル:Vシネがどういうものが棚を占めているのかとかチェックしてくるんですけど、今のVシネってフックにしてるポイントがレンタル漫画の広告と一緒なんですよね。胸糞か底辺かデスゲーム。自動給餌器はすっごい食糧○類みあって、それもそういう狙いだそういうのが今受けるんだと言われたらそうかあもっともだなあとも思うんですけど…。それから最後のシーン。ゲス一家、最後に女二人が残るところはめちゃくちゃいいなって思いました。再婚したダンナよりは実の娘の方が大事。でも自分と、娘だったら?二人にはまだ売るものがあるからもっと加速するまでコンティニューコインを入れられる。そういうクエスチョンを残してのんびり日光浴してる(ように見える)景色で終わるのいいな~って思ってたとこで息子が目パチーするのでえーってなっちゃった。そこが好きっていう人もいるだろうけどわたしは好きじゃなかった。全部好き嫌いの話です。しかし好きか嫌いかの話だけにそこがすれ違ってしまったら、たとえば誰かに解説してもらったり自分で気付きを得たりといった方法でその溝を埋めるのは難しい。ガチバンと同じことをやるのならガチバンの続きを作ればいいし*2闇金ドッグスを続けるなら、この世界の描写にわたしがこうあって欲しいと思う感覚と、制作側が考えるものがなるべく重なっていてほしいと願うばかりですね。

忠臣さんについて。髪切った?(切りました)事前インタビューで今回は忠臣さんが笑うということに触れていたけど、言及されてたとこ以外も含めて3箇所あった。なんてことない日常描写で吹き出すところと、あさましくお金に群るゲス一家を見て思わず笑ってしまうところと、最後にうまいこと回収できてドヤっているところ。わたしは山田裕貴の笑うと目尻に皺ができるところがすごく好きなんですけど、山田裕貴に顔がそっくりな忠臣さん*3もやっぱり笑うと目尻にくしゃっと皺が入ってかわいいなって思った。かわいいよ~~かわいいんだよ~~~困ったね!好き!!観終わった瞬間、カレー甘口解釈違いです!ってキレたけど、今はもうカレーの王子様のルーを箱でストックしておくしニンジンさんもりんごさんもすり下ろして入れてあげるね♡って気持ち。忠臣さんやっぱブラックコーヒー苦手でしょー!
事前に読んだ通り、今回の忠臣さんは本人の掘り下げはほとんどなくて、カモとなる一家にうまいこと餌を与えて*4太らせて身動きとれなくなったところにうまいこと最後のひと押しだけをして、うまいこと100万だか200万だか儲けていました。そう、本当に「うまいこと」やってて、さらに「引き際が肝心なんだよォ」なんてドヤっててそんな調子こいてて大丈夫か?って思った。だって闇ドの制作陣、明らかに忠臣を困らせてやろうとか忠臣を追い詰めてやろうとか忠臣をめちゃくちゃに酷い目にあわせてやろうとか常に手ぐすね引いて待ってる人達ですよ!?なんで分かるかってわたしも忠臣さんにまったく同じ感情を抱いているからです!口に銃突っ込まれた忠臣さんがどんな表情をするのかどんな目をするのか、見たいんだよみんな。手酷いしっぺ返し受けるんじゃないかとハラハラしながら、でもしっぺ返しくらって大変なことになって欲しいって期待しました。忠臣さんのドリ女忙しい。実を言うともういいよお蔵入りにでもして仕切り直してって気持ちになってた時もあったんですけど、そしてこれ書いてる今、今後のことはまだ何にもわかんないんですけど、やっぱりこの続きが観たいな。

湯澤章太郎役のタモト清嵐くん。年配のコメディアンみたいな芸名だなって思ってたら若い俳優さんでした。全然知らなくてすみません。しかし良かった!闇金ドッグスが好き過ぎて、できるだけ初見を堪能したくて孫ちゃんのインタビュー以外は場面写真も予告動画も我慢してたんで、ガッツセンターが悪なのか善なのか分かんなくてすごい手に汗握ったんですけど、観終わってから動画確認したら結構しっかり予告されててびっくりしました。我慢した甲斐あったぜ。生活保護で遊び暮らしてるゲス一家の中で唯一真面目に勤労してる良心という設定で、実際人としてのモラルがあるいい子であり、でもバカでもあり…人材センターの先輩たちも、元ピザ職人のおじさんも悪人ではない。優しくあろう、善き人であろうとしているところが描かれていて、でもオセロの駒を裏返すように裏切るし醜くキレて罵るし、いざ自分がババを引かされそうになったら簡単に逃げ出す。五千円札とピザ渡されてキレるところも、家族を諭すだけの良識がありながら、会社の借金をサラ金闇金でなんとかしようとしちゃう頭のわるいところもかなしい。闇金ドッグスのこういうとこめっちゃ好き。元カノと別れるときに別れても親友でいようって言うタイプなの、わかる。今回、無知は罪・バカは罪・善良さを食べては生きていけないということが結構徹底して描かれていて、でも無知は罪なのか、人を信じるのはアホなのか。答えなんてもちろんないし、そういう答えのないなぞなぞをずっと忠臣さんに突きつけ続けて欲しいんだなあ。それこそ忠臣さんが死ぬまで。

*1:山田裕貴土偶が割れたせいで大変なことになる作品への出演3日ぶり2回目

*2:実際ガチバンはガチバンで好きだし、あの続き作って欲しさはある。

*3:何を言ってるかわからねーと思いますがそういうことです。

*4:今気付いたけど自動給餌器はエサやってるようで実は自分たちがエサを与えられてたっていう皮肉なんでしょうか?でもやっぱあの一家があんな高度なピタゴラ装置作れるの、違和感しかない~~!