強く生きる

HiGH&LOWと山田裕貴関連用。本業はオタクです。

TANIZAKI TRIBUTE「悪魔」完成披露(ネタバレ感想)

鬼邪高の女のくせに全日のプリンス轟洋介をまだ生で見たことがない!ということで行ってきました〜!TANIZAKI TRIBUTEとして谷崎潤一郎作品の中から三人の監督がそれぞれ選んだ一作を舞台を現代に変えて映画化するという企画。完成披露には三作品全てから登壇するので、てっきり短編三作構成で全部上映するんだとばかり思っていたら、三作それぞれ映画一本分の尺があって当日は「悪魔」だけを上映するってチケット取ってから気づきました。結果的に前田公輝くんの出るやつだったのでよかったです。でも当日流れた予告見たらあと2作も面白そうだったので、どれでもよかったかな。会場のテアトル新宿、初めて行ったんですがロビーはオサレで綺麗なのに劇場内はなぜかごちゃっとした人ん家感あって不思議な感じでした。あと座席が赤い*1のはいい!なんか椅子が赤いとテンション上がります。闘牛か。

tanizakitribute.com

■舞台挨拶について
前述の通り、三作分の登壇者がいるのに上映するのは一作だけなので、まだ観てなければこれから観るわけでもない映画の話を聞くのは変な感じ。あと人数は多いのにほぼみんな段取り良くなくてトークかつかつな上にでんでんおじいちゃんのハピバまでやろうとしててしっちゃかめっちゃかになってたのが楽しかったです。

・内田慈さん
去年、散歩する侵略者を観に行ったぶりだったんですが、いつ見ても原作漫画の方の深夜食堂にいそうだなーって思う。あと、出演作「神と人との間」の内容に絡めて中学の時の告られエピを話してくれたんですけど、めっちゃモテてたっぽくて、わかる〜〜わたしもこういう彼女や奥さんと気候が良くてメシのうまい瀬戸内海の島あたりで気ままに暮らしたい。でもある日突然失踪されそう。買い物から帰ってきたところで、あ、途中でネギ落としちゃったみたい探してくる!って言って出て行ってそのまま帰って来なさそう感ある。この内田さんに感じるあれこれ、一言で表すとしたら「キョンキョン感」だ。すっきりしました。

・でんでん
おじいちゃんしっかりして!

片山萌美さん
足が強い。

吉村界人くん
上映作の主演ということで締めの挨拶してたんですけど、あんまり喋りはうまくなくて(失礼)でも一所懸命に、自分は映画が好きだから、このテアトル新宿に、映画館に来てくれて嬉しいありがとうということを話していてじんわりきました。観劇は逆に覚悟決めれるんですけど、映画館行く時間捻出するの結構めんどうなんですよね。自分にとって、他にやりたい娯楽もいっぱいある中で、映画館で映画を観るという行為を選ぶのは時間の使い方としては割と贅沢な気がしているので、作り手の側がそれをちゃんと分かってくれてるとなんとなく嬉しいです。

・前田公輝くん
出てきた瞬間、あっ不二家の店頭にいるやつだって思いました!なんか妙につるつるしてるとこといい、すごいペコちゃんみある。でも映像やお写真でみた時の印象からそんなに変わらないかな。あのまんまかわいいしかっこいいししゅっとしてる〜〜!最初に登壇者が順に挨拶してくターンで他はみんな「(役名)を演じた〇〇です」って名乗ってたのに、前田くんだけ「鈴木を演じました」だけで済ませてて、おっ名乗らなくても今日きてるやつらはみんな俺の名前知ってんだろ?*2ってことか?!強気やな!!って笑ってたんですけど、単に名乗り忘れてただけらしく、その後作品について語るターンが回ってきたときに「さっき言い忘れたんですけど前田公輝っていいます」って言い直してて、でもそこまでの進行がぐだってたせいか司会の人が巻きモードに入ってて、こんな面白発言を完全スルーしてたのが今日イチ楽しかったです。

■映画本編について
※この映画はエビが死にます。
の注意書きが必要だなって思いました。エビの印象が強すぎて内容思い出すのにまずエビのことを忘れる作業が要る。あまりにエビ推しなので、原作でどういう扱いだったのか気になって、鑑賞後に買って読んだんですけどまさかのエビ、映画オリジナルだった!もしかして他の谷崎作品から持ってきたモチーフの可能性もあるのかな…そうでないなら監督はよっぽどエビが好きかエビが怖いかのどっちかですね。わたしはエビ吐くシーンとかエビが死んでるシーンより庭を闊歩してるエビが怖かったです。なんの暗喩なんだあれは。人間が嫌いな神経衰弱の大学生佐伯と、その下宿先の娘の悪魔なJK照子と、その同居ストーカーの鈴木と、佐伯の世話を焼きたがる大学のクラスメイトあゆみと、登場人物がみんなちょっとずつ壊れてて、その歪みが不協和音のように増幅されて最後破滅するっていう話なんですけど、わたしはこの作品で一番頭おかしいのは下宿屋のおかあさんだなって思ってしまったのでちょっと作品に入りこむのが難しかった。原作が発表された百年前ならそりゃ年頃の娘がいるご家庭が稼業として下宿屋やっててもおかしくないけど現代じゃあなあ…学生向けマンションの住み込みの管理人さんとか寮母さんじゃダメだったのかな。あと鈴木みたいなの住まわせてちゃだめでしょ〜〜。吉村くん演じる佐伯は百年前のインテリ層と言われても、現代っ子の大学生と言われてもそのどっちにもふさわしい不思議な雰囲気を持っててよかったです。鈴木はキモい。顔かわいいのにすごくキモい。やたらリアリティのある「知ってるキモさ」で、狂気とも違う、歪んだ眼鏡越しにしか世界が見えてない感じ。確かにこういう人はいるんだけどごーきまえだくんは子役からずっと芸能界にいるのにどこでこんなモチーフを学んでくるんだろう。観終わった後、なんだか自分の手がネタネタ汚れているような気がして無性に手を洗いたくなる、そんな湿度のある作品でした。

*1:公式サイトの画像は青かったので幻覚…?と焦ったら、2017年12月に赤に貼り替えたばかりだそう

*2:実際前列は自分含め前田くん目当てなんだろなーって人が多かった。