強く生きる

HiGH&LOWと山田裕貴関連用。本業はオタクです。

顔が美しいということ(ゾウを撫でるネタバレ感想)

タイトルはゾウを撫でるネタバレ感想ですが、闇金ドッグス5のネタバレもしてるのでご注意を。

 

闇金ドッグス5の元ネタであるもうあかんか事件、どーしても10年前などでなくもっと最近の事件のような気がしていて、イマジナリー孫なんか作っちゃったせいでわたしの頭もボケてきたのかと不安だったんですけど、確認したら加害者である息子さん、心中時は生き残ったもののその後自死という選択をされていて、それが報道されたのが2016年の初めだったんですね。そのニュースも見たときの記憶があるので多分そこで時期が上書きされたんだなー。ちなみに2013年に、へその緒を持って琵琶湖に身を投げたとのこと。闇金ドッグス5の最後で母親をおぶって海へ入るのはこれも踏まえてのことなのかなと。作中では冬ですが、琵琶湖に投身したのは夏の盛りということを今初めて確認して、水が冷たくなくて良かったな、と思ってしまった。それぐらいどこにも救いがない。
わたしはこの事件、最初のときはテレビで、自死の件はネットニュースで見たと思うんですけど、すごい印象に残ってて、特に報道された最期のやり取りは一字一句覚えてたし、映画初見の時にそのまま使ってるってことも分かったんですよね。これ、事件を知ってるかどうか、知ってても詳しく覚えてるかどうかで映画の評価も変わりそうだなあ。知らなければ知れてよかった、という加点がつきますけど、そうじゃなければ心の痛む話だ…と思いつつもそれこそアフリカでは毎日子供が死んでますみたいなどこか彼岸の話だと捉えてたことをてめーもそこにつながってるんだよと突きつけられた嫌悪感に頭ぶん殴られますからね?!
なのでセリフが関西弁をはずした以外はそのままであることにも、当初うーんって思ったんですけど、監督も脚本家もプロなので当然そのままでいくか・変えるかは検討はしたはずで、その上でそのままという選択肢を選んだのなら、そういう主旨だと踏まえて観るべきかなあと。
という訳で池袋文芸坐のハイロー一挙を見た後、友人に延々と孫の自慢話をするという介護をしてもらっていたらいい時間になったので3回目の闇金ドッグス5観てきました。ちなみに友人は誘ったけど翌日早いからと断られました。そうだよね、遅いよねうん…でも大人からしたら午前中や昼間にやられる方が難易度高いので、この時間帯なのはまだマシかなあとたった7人しかいない劇場で自分をなぐさめました。今日本でここでしかやってないのに7人。ずっとオタクやってきた身からすると不思議でしょうがないんですけど、俳優それも舞台出ない映画テレビ中心の人のファンってお金使わないですよね?そりゃあ舞台も2.5次元ばっかになるというものだ…
うまくいけばあともう1回は観に行けそうなので、今日は沼岸のことは忘れて忠臣さんの美しさを堪能しようと思ってビール片手に臨んだんですけど美しかった…!5で一番美しいのは美人局失敗して電話かけてきた須藤に指示を出すところ(予告動画でクレジットが出るところです)だと思ってるんですけど、ここ本当にどうってことないシーンなのにちょっとびっくりするぐらい美しくて、予告の山田裕貴の名前が出るところにここを抜いた人の気持ちがすごいよくわかる。いい仕事だ!4の忠臣さんの顔がいいなあと思うところは、顔の作画がいいのもあるんですけどその前後のシナリオも含めての「良い」なので、それに対して5の黙って立ってるだけで美しい域に達してるのはすごい。こんなにも顔が美しいということをかみ締めたのは登坂広臣を除くと(登坂広臣は「顔がいいという概念の擬人化」なので別枠)スターウォーズEP2のヘイデンクリステンセン以来、人生2度目です。


という訳で今の山田裕貴の顔がとても美しいということを踏まえての「ゾウを撫でる」感想です。

zouwonaderu.com

映画製作に関わる人たちの群像劇です。基本的にどのエピソードもいいお話で映像も音楽も優しい。元は1本8分前後の短編を繋げたものらしいですね。その情報は事前に聞いてはいたんですけど、観るときすっかり忘れてたので、話のテンポにちょっと違和感がありました。あっという間に各登場人物のあれこれが解決して次に行く、みたいな…元は短編なら納得なんですけど、特にどこが短編時の区切りだったのかは明示されず(そのつもりで観れば推測はできる)いっそどこが話の切れ目か分かった方が良かったのかな~と感じた。最近、志村貴子先生の淡島百景という連作短編集を読んだんですけど、少なくともkindle版では各短編の間に空白ページがなくてて、そのまま次の話になってがらりと視点が変わるので各エピに浸りにくかったのを思い出しました。「間」って大事だよねー。
あと最初の台本印刷業者の話がわからん!脚本家の鏑木さんの修正は分かるんですよ。「眠り続けている」から「眠り続けていた」に変えたのは個人的な祈りだと。でもそうだとすると、この作中作は鏑木さんの私小説的一面も持つというわけで、だったらやっぱり最後は「我々は」ではなく「私達は」が合ってるし、直しちゃいけなかったんじゃないの?としか…このエピはきっと映画製作は観客がスタッフとして認識してるポジションの人達だけじゃなく、こういう業者さんたちの力も必要で、そしてその人たちも真摯に映画作りに向き合ってるんだという話、という解釈でいいと思うんですけども~直したことをどうやっていい話だと思えばいいのか誰か教えてください。謎の女の話は結構好き。あれは謎のままでいい。きっと映画作りの女神かなにかなんだ。
ちょっと言い訳しておくとわたしは漫画>>>小説>アニメ・映画・ドラマという価値観で生きてきて、映画、それも邦画の経験値はめちゃくちゃ低いです。漫画って完全に一人で描いてる人は少ないですが、それでも細部にいたるまで作者の意思が行き届いているものなので(そしてわたしは特にそういう作品がすき)映画もつい同じスタンスで捉えようとしちゃうんですけど、もしかしてもっとぼんやり観てふわっと捉えていいものなのかなあと…観てる作品数が少ないから感想言っちゃいけないということもないと思うんで書きますけど、漫画をそれなりに読んでる身からするとやっぱり経験した作品数が多いほど評価の精度は高くなると思うので…なので映画好きからしたらなんだそりゃって話してたらごめんね!
で、山田裕貴が演じてるヒッチハイカー森川のエピソードですが、推しが出てるからという贔屓目を抜いても一番わかりやすくて、さらにラストシーンにつながってるのでぶつ切り感もなくてよかった!森川は分かりやすく行き詰ってるし、乗せてあげる運ちゃんも分かりやすくいい人。九州弁のあったかオーラすごすぎ。森川くん、派遣切りにあって実家に帰る交通費すらなくて割と詰んでるし、運ちゃんもブラック業界でカツカツで、設定だけ見れば現代の闇なんですけど、山田裕貴のにじみ出る若さと素直さとか、九州弁のあったかさとか、さらにラストで見知らぬおっさんにまた親切にしてもらったりとか、お日様のほうを向いている要素がいっぱいなので大丈夫立ち直れるよって思える。ロケハンのシーンや絵コンテ?で希望の樹の姿(わりとしょぼい)を見せておいて、こんなもんかーと印象付けてかーらーの、ラストシーンでお目見えする本当の希望の樹がもっとずっと立派なの、ずるい演出ですよね。おおっと思っちゃう!幸せな気持ちで映画館から帰ることのできる映画だと思います。希望は必要だよ、どんな時でもね。

 

それで、あの、山田裕貴の感想なんですけど、すっっごい顔がふにゃふにゃだったんですよ!これに限らず昔の画像や映像に比べると、今は顔の水分量も肉付きも減ってしゅっとしたんだなあとは思ってたんですけど、森川くんはとにかく顔がぼんやりしてて、それがまた何者でもない状態の森川くんの役に合っててよかったんですけど、あまりの違いに驚いた。(どうでもいいけど森川くんの第一印象は「デイリーポータルのイマジナリー彼女作ってる人に似てる」)そしてそのうわー顔がぼんやりしてる!からの、上映後舞台挨拶に登壇してきた本人がめちゃめちゃ顔はっきりしててびっくりした。当日、ゾウを撫でるの前に友人の生後2ヶ月の息子に会ってきまして、その前に見たのが生後1日目のときだったので、たった2ヶ月で顔がはっきりしたことに感動してきたんですけど同じぐらいうわー顔がはっきりしてる!!って思った。すごい。推しの顔がはっきりしてることに感動できる。孫の成長すごい。
舞台挨拶は監督自ら司会されてたんですけど、「顔ぽてっとしてたのが精悍になって…」と評されててそりゃ23から26でここまでしゅっとしてたらびっくりする。でもゴーカイジャーの映像とかみても、若いなーとは思ってもここまでぼんやりはしてなかったような気が…身長だけでなく、顔の造作も役に応じてぼんやりしたりはっきりさせたりできるのか。本当は大きい山田裕貴と小さい山田裕貴と中くらいの山田裕貴の3人ぐらいいるんじゃないのか。
しつこく顔の話しますけど、舞台挨拶の、いわば素の状態の本人が顔はっきりして、何より美しくて震えました。去年見たときはわーかわいい!目が大きくてうるうるしてる!ぐらいにしか思わなかったのになー。10代なら遺伝子の力ですけど、25過ぎて顔が美しいのは本人の才能だと思います。若手俳優、テンプレかよってぐらいにみんなイケメンと言われたくないって言いますけど、大人になってもイケメンなのはお前の実力だよ!もっと誇ってほしいし売り物として大事に売ってほしい。具体的にはSNSに上げる画像もうちょっとがんばってほしい。がんばれ。
EP2のときのヘイデンクリステンセンは癇癪を起こした幼女のような傲慢な美しさで、EP3のときにはただの美形になっちゃっててがっかりしたんですけど、5の忠臣さんは若さ由来ではなく大人の男の美しさなのでこれからが楽しみだし、しっかり見ておきたいし、みんなに見て欲しいなあと思いました。みんな闇金ドッグスを観てくれ。2から入るのがオススメです。


「ゾウを撫でる」の客席には、闇金ドッグス4で豊田を演じた升毅さんがいらしてました。超渋くてかっこよかった。豊田役しか存じ上げないので遠巻きに拝見するだけだったんですけど、声をかけた人にも丁寧に対応されて声も渋かった。ステキ!