強く生きる

HiGH&LOWと山田裕貴関連用。本業はオタクです。

となりの怪物くん完成披露試写会(ネタバレ感想)

原作は割と昔に一読したのみでうろ覚え&特に原作への思い入れはない人間のネタバレ感想です。事前記事も孫ちゃんのものしか読んでないので、それインタビューでもう答えてたよとかあったらごめんなさい。

 

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観終わって真っ先に思ったこと「監督、シザーハンズ好きでしょ!?」わたしが漫画原作実写化でいつもひっかかってたところをこうあって欲しいと願う通りに仕上げてきてくれたし、キャスティングもこうあって欲しい、と考える通りになってた。そこはすごい良かった。ただそれだけに唯一の不満も強いです。なんでこれ前後編にしてくれなかったんや…尺全然足りてないやないかーい!

世界の色がうつくしい
実写化に限らずアニメ化でも割といつも気になるんですけど、漫画を映像にするとき、漫画版のフルカラーイラストの色をそのまま再現する必要なくないですか?だって人間の肌の色はドクターマーチンのレモンイエローとタンジェリンを混ぜた色ではないし、日本の街並みはRGBで塗られてはないじゃないですか。街の色も空の色もイラストとは違うのにキャラだけ再現するんじゃなくて、漫画の世界と現実の世界の色の差分の分だけ、色味をずらして欲しいって思うんですよね。アニメだとどうとでもできるはずなのに、ちゃんとキャラと世界の色味が統一されているものとばらっばらのものがあって、前者は監督が女性なことが多く、色に対する知覚は男女差かなりあるので、男性が作るあるいは男性がお客さんな作品の場合はそうなっちゃうのかなあと。で、とな怪も映画のビジュアル出た時に制服がろびこ先生のかなり彩度高いイラストそのまんまのばりばり濃オレンジで、明太子屋の店員かよやっぱり男性監督*1にはそこ期待できねえ~となめプしてたんですけど、とな怪はまさかの世界の方の色を変えてきてました…!冒頭の教室シーン、ありえん彩度のロッカーをみて監督すみませんって超謝った。ごめんな!いつも見てる色調の街の遠景の前に、そこだけビビッドな…あれ、なんて呼べばいいかわかんないんですけどぐるぐるしてる遊歩道のフェンスの色、某夢の国みたいな街並みにまるでお城な学校、なによりもおもちゃ箱のようにカラフルなバッセン…でもヤマケンと雫が通う予備校と受験のシーンだけ現実の世界の色で、二人がすごく浮いているのを観て、あーこれ、この監督の世界めっちゃ好き!って思いました。監督、シザーハンズ好きじゃないですか?わたしもめっちゃ好きやで!ていうか考えたこともなかったですが、となりの怪物くんがそもそもシザーハンズに近い話ですね…怪物だし…。シザーハンズ、わたしの年齢だとちょっと映画が好きなら当然履修してるレベルの作品なので詳細について説明するのがどうにも気恥ずかしいんですけど、今はもう世代的に観てない知らない人もいるのかな…世界を作るためにものすごいパステルカラーの街まるごとひとつセット作ったりしてる映画なので、観てね。映画は真っ暗な劇場でみる夢の世界だからその世界には閉じててほしいんです。作り物で偽物で嘘で、でも変わらない何かが観たい。

キャストの属性があってる
キャスト発表されたとき、誰ひとり原作に似てないけど、全員属性は合ってるって思ったし、完成した作品を観てもやっぱり合ってるって思いました。それでいいんですよ~~~~別に、顔なんて、似てなくて、いいんですよ!(個人の感想です)世の漫画家が美しい顔面を描くのにどれだけ情熱をかけてると思ってんだそんなの再現できてるって言って許されるの橋本環奈と吉沢亮ぐらいしかいないじゃん!属性合ってることの方が断然大事。主要キャラ、みんなちゃんと原作と同じ属性だったんですけど特にすごいなって思ったの雫(土屋太鳳)と優山(古川勇輝)です。優山、すごく優山だった。

ヤマケン出番少なすぎ問題
ヤマケン好きな人は実写化されたことよりも実写で出番少なすぎることに怒った方がいいと思う。ヤマケンってコマ外やフキダシ外がかわいいキャラじゃないですか?何言ってるんだって話ですけど、ニュアンスで理解して!でも、話の進行に必要な箇所しか出てこなくて、進行に必要なセリフしか喋らなくてそういう描写の尺がほとんどなかった。「ヤマケンが好き」はビジュアルだけでもなんとかなるけど「ヤマケンに萌え」はエピソード描写がないとむずかしいなって。萌えって生物として必要のない完全に文化的な感情だから、無駄から生まれるものだと思うんですよ。んー!!って思ったの、落ちそうで落ちなくてやっぱり落ちたポップコーンの持ち方と学祭でちらっとみえる青い靴下とサンダル脱いでデッキチェア座ってる時の足の裏ぐらい。実写版ヤマケンのポップコーンの持ち方、萌えます!
雑誌の対談記事で菅田くんが山田裕貴のことを「あなたは骨格がヤマケンに向いてる。骨格がマジイケメン。立ち姿に品がある」と評していて、菅田くんそ・れ・な~~~~~!!!!めっちゃ分かるガム食べる?ガム食べる???ってなったんですけど、本当に骨格がイケメンだし立ち姿に品があるし、それがヤマケンとして必要な要素を満たしてた。最初に出てきたときは、顔がいいだけのいけすかないうざい奴で、それが雫を好きになった瞬間があって、でもそれを認めたくなくてだけど一緒に過ごすうちにどんどん心を占めるようになっていって、泣くんじゃないかとハラハラした最後のシーンは気持ちの全部が雫を好きってこと、どれもこれもちゃんと伝わってきたんですけど、でもそれぜーんぶ山田裕貴の演技にしかないんですよ!感情はあるけど物語がない。原作は少女漫画なのでどんなに当て馬が人気キャラでも、最後は春エンドなのもヤマケン振られるのも分かっててでもその揺れに胸キュンしたり床転がったりドラミングしたりしながら読む訳じゃないですか。それもっと、このヤマケンと雫で物語として観たかったよ~~~!!!!

多分、とな怪が映画一本に収めるの難しい話なんですよねきっと。少年漫画や青年漫画なら途中で切れるポイントもあるけど恋愛ものだからエンドまでいかないといけないし、かつディスコミュニケーションとか自己肯定の話でもあるから主要キャラの人数減らせないし両方やらないといけないし、いちいちキャラのバックボーン描写入れなくても出てるシーンだけで説得力出せるキャストちゃんと揃えて、必要なエピソード抑えて、原作をダメにしてるかっていうとそんなことはないんですけど、どうしてもダイジェスト感があるというか、忙しい人のための5分で分かるとな怪だったなあっていう…。この演出でこのキャストならもっと時間があればって思うし、でも前後編ってそうしたいからといってできるものじゃないし、思えば漫画って話の内容に合わせて一番尺を自由にできる商業媒体で、それってすごいアドバンテージなんだなーと。漫画の良さをかみしめたところでおばあちゃんは漫画の星に帰ります。はい…。


舞台挨拶のことなど
・初めて土屋太鳳ちゃんを生でみたんですけどめっちゃくちゃかわいかったです。
正直な話、わたし松嶋菜々子とか土屋太鳳とかの鼻の下の溝?がはっきりしてる顔がどうも苦手で美人なのは理解できるんですけど生理的にダメなんだろうなーって思ってたんですけど、実物はそんなこと気にならないぐらい目が綺麗で吸い込まれそうだし、それにすごく声と話し方がいい。興味ある演目ならお芝居行こうと思ったぐらいなので相当です。相当かわいいです!
・ファッションショーを模した演出から始まって、ランウェイの最後にサインボール投げてたんですけど、国際フォーラムCホール中央ぐらいから2階席の後方までボール投げる孫ちゃんが見れてひぇってなりました。肩が強い。肩が強い!!体力ゼロのおたくだから身体能力高い人間にすぐあかん~~~ってなります。
・最初の挨拶のとき「映画は観られて初めて完成するので…」と言っていたのは正直しんどかったです。つっこんで笑いをくれた菅田くん、ありがとう。
・孫ちゃんがかつてなく、それも一人だけ汗かいてて毛先からぽたぽた落ちるわ鎖骨の窪みに汗溜まるわのレベルで汗だくだったのでタオル投げてあげたかった。現場からは以上です。

 

おまけ。写真撮影OKタイムの輝いてる一枚

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*1:でも色遣いが一番好きなのは男性の三木孝弘監督だったりするのでなんとも言えない。

映画「デメキン」ティーチイン覚え書き

ずっと下書きに眠らせていたのですが、記憶を総動員してなんとか仕上げました。記憶違いあったらすみません!回答しかメモ残してなかったので質問が特に間違ってるかもですご了承ください。一応初日と大ヒット御礼のメモもあるんですけど、円盤に入るようなので…入ってないのあったらまとめます。

2017年12月22日シネマート新宿スクリーン2にて。山口義高監督、脚本の足立紳先生、佐藤現プロデューサーのお三方が登壇。上映後、簡単な挨拶の後に客席からの質問(4人で時間切れ)、ポスターと台本のプレゼント抽選があって計30分ほどのイベントでした。

・山口監督挨拶
80年代に青春を過ごした人に向けて作った。その人たちが実際楽しんでくれたようでよかった。

・足立先生挨拶
僕の作品には珍しく女子高生まで客席にいて嬉しい。健太郎くんが来ると勘違いしたんじゃないよね?

健太郎くんについて
足「『十四の夜』から二度目の健太郎くんは、最初に部屋に入ってきた瞬間、部屋が明るくなった記憶がある。」
山「健太郎くんは陽性。いるとぱーっと明るくなる。役者として光の素質がある。逆に山田君は陰影があるというか」

・ティーチイン
Q:最後のシーンの「10年待ってるから」は映画にしかないセリフで、これから10年重なることがないという別れの言葉であり、その後のエンドロールとの対比になっていると捉えたが、どういう意図でいれたのか?
A:
足「そのままの通り、この先10年もその先も永遠に二人は一緒だというつもりで書きました。でもそっち(別れ)の方がかっこいいかもしれないですね」
山「僕は別れのつもりで撮りました。最後のバイクのシーンは最初からラストに使うつもりでした。結局総長になった後のシーンになりましたが、厚成の引退走りのつもりで撮っています。二人がこれきりということではなく、これからもバカやってくんでしょうが、今までとは立ち位置が違うという別れです」

Q:舞台挨拶で正樹とアキの病院のシーンが本来なかったのを脚本から追加したと聞いたが、なかったらどういうシーンになっていたのか?
A:
山「それは誤解で、屋上のシーンはもともとありました。追加したのはアキが厚成に早く落ち着きたいというシーンです」

Q:(質問失念。印象的なエピソードは?とかそんな)
A:
P「笠松将くん(蘭忠治役)は壁ドン映画が嫌い」
山「笠松くんが隔離されて寂しかったときいて、本当は仲良くしたかったみたいでかわいそうではあったんですが健太郎くんが完全に仕上がっていて、厚成のカタキ、忠次絶対殺す!!みたいな状態だったので一緒にはできなかった」
P「健太郎くんと山田くんはそれまでのお芝居とかを見てのオファー。あとは200人からのオーディション」
足「当初の脚本は正樹のお父さんが居たりもしたんですが、健太郎くん・山田くんの二人に焦点を絞りたくてこういう話になりました」

Q:厚成が襲撃を受けるシーンだけ、サイコホラーのようで他とテイストが違っていたがそれは意図的な演出だったのか?
A:
山「痛みが分かるように漫画的誇張と、あとはやっぱり山田くんのリアクションが上手いのでああなりました」

Q:(これも質問失念。多分この作品で目指したものは?とかかと)
A:
足「憧れ。自分がヤンキー漫画とともに育ってきて、その中のヤンキーへの憧れもあるけれど、それよりも青春の中での誰かが誰かに憧れるという、それを描いた」
山「正樹と厚成とのすれ違いと気持ちが伝わるところ。冒頭いきなり説明もなく殴り合いから始まるけれど、最後拳を重ねるところで分かってもらえるかと」


シネマートのスクリーン2、行ったことのある方なら分かると思うんですけど公民館の会議室みたいなあの謎の部屋にぎゅうぎゅうに人が詰まっているの初めてだったので、めっちゃデメキン愛されてるなって嬉しくなりました。ちなみに公開延長されての年明け、最終日の2日前に観納めしてきたんですが、その日もほぼ満席でした。完成披露で観た時にめちゃくちゃ面白いし、めちゃくちゃよく出来てるし、めちゃくちゃわたしに刺さるって感動したんですけど、おそらくは予想よりずっと流行ってくれたのではないかと思います。わたしも結局7回観たし。2017年の孫ちゃんの仕事の全わたしベスト3を選べといわれたら*1、間違いなく「あゝ荒野」「直虎」そして「デメキン」です。4月25日に円盤リリース、近いうちにレンタルも始まると思うので、全ヤンキーもの好きは観てください・・・!

ちなみに客席に田中偉登くんが来られてました!あっという間に終わってしまい、次の上映もあったので追い出されたんですけど、しばらくロビーで田中くん含めて対応してくださり、原作本にサインいただいてきました。自慢に載せます。パンフにしなかったのはこっちの健太郎くん単独のビジュアルがすごい好きなので。

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サインいただきながら、お三方ともにヤンキー映画が好きで、ヤンキー映画また作ってくださいって伝えられたので良かったです。わたしの前世、きっと雨の中で不良に拾われたおばあちゃん犬だったんだわ…というのはともかく、わたしが子供の頃、ジャンプもマガジンもヤンキー漫画の割合がすごくて、というか特にヤンキーものでなくても主人公はヤンキーデザインだったりしたんですが、今はもうほとんどなくて。デメキンの冒頭、昭和が終わって平成になるラジオ放送から始まるんですが、それを観たときにああもうヤンキーものって懐古おじさん層を主ターゲットにしないと厳しい時代なのかなあって悲しくなってたんですよね。でも今ものづくりの第一線にいる監督や脚本家がヤンキーものを見て育って、それに憧れた気持ちから作品を生み出してくれてるって分かって、まだまだ大丈夫だなって安心しました。デメキン、続編作ってほしー!でも厚成との別れが完璧すぎるので、続編には厚成要らないというジレンマ。大ヒット御礼のとき足立先生が「次があるなら群像劇で」と言われていて、それは全くもってわたしの望む形なので超期待しております!

ついでに当時のツイートなど。見返すと年末ずっとデメキンとボーダーラインと闇金ドッグス*2の話してて、このときのわたし超幸せだなって思いました。もうAMGさんなしでは生きていけない体になってしまったので、責任とってこれからもわたしの好きな作品を供給してくれないと困る。ずっと待ってます。

・わたしにとってデメキンの物語はもう振り返って見る位置にあるので、最後のシーンの「10年待っててやるから」はもう、正樹と厚成が10年重ならないことを分かっていてのセリフでしかなくてただただ眩しくて寂しかった。振り返らずに観れる年齢の人にはどう写るんだろう

デメキンのエンドロールの最後、このまま正樹と厚成の笑顔のアップで止めてくれって思うんだけど、容赦なく引きのカットに切り替わって二人は画面の外に出て行ってしまうんですよね。あれがもうどうしようもなく寂しい。監督は正しいよ。

デメキン、よくできてるし、面白いし、なによりわたしの好きなやつなのでなんらかの成功を得て欲しいけど、ラストの世界の閉じ方が完璧すぎるので続編欲しいかというと別にそうでもないのがもどかしい。続編やるならいっそ厚成なしでいい…福のじの正社員なれて遠方に飛ばされたとかそういうので

・漫画版正樹は主人公として分かりやすいキャラ造形なのに対して、映画版正樹の厚成が好きって気持ちを観客に共感させるには、観客にも厚成を好きにならせないといけない。推しの厚成にはその説得力がとてつもなくあるので厚成が推しでよかった。正樹厚成はオファー、その他は200人からのオーデだそう

・映画版デメキンを観て厚成を好きにならない人なんている?!いません!!!!!

*1:闇金ドッグス・ハイローは殿堂入りなので対象外

*2:当時撮影期間でした

「プリンシパル~恋する私はヒロインですか?」ネタバレ感想と映画祭なめんなの巻

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第2回ええじゃないかとよはし映画祭で急遽観てきました。というのも同日上映の「亜人/曇天に笑う番外編」の舞台挨拶目当てにこだまで2時間かけて豊橋まで行ってたんですけど、当日の亜人上映開始10分前にプリンシパル後のクロージングセレモニーにも推しちゃんが出るとツイッターで告知されまして…ちなみに亜人は客席に電波制限かかってる劇場での上映だったので、既に着席してたわたしが知ったのは舞台挨拶も終わった時に司会さんが言ってくれたタイミング=プリンシパルの開演1時間前だかんな!?
幸いチケットはまだ残っていたので入れたんですけど、他にも前売り券完売時は当日券なしって公式サイトにはっきり書いてたのに朝10時開演の作品を前日22時に当日券*1発表したり、いろいろひどかったです。前日入りでないと10時に豊橋たどり着けない地域住みで当日券あるなら入りたかった人は物理的に無理じゃないですか。告知遅くてもそれで埋まればいいですけど、結局プリンシパル+閉会式は空席だらけだったしさあ…。事前に完売したの亜人/曇天と音楽ユニットが登壇するもう1作だけだったので、亜人/曇天のゲスト二人が閉会式にも来ること事前に告知しておけばもう少し埋まったよ。さらにシネコンのサイトで普通にチケット売ってたせいでただ映画を観に来ただけの映画祭に興味ない人*2が挨拶前と閉会式前のタイミングでごっそり抜けるし、映画の終盤でいかにもお役人らしきスーツ姿のおじさんたちがガヤガヤ喋りながら入って来るし、これ豊橋市の税金使ってるんですよね?1枚800円できっと全公演完売しても利益なんて出ないんでしょうけどだからといって売る努力、来た人に満足して帰ってもらう努力しなさすぎでは?わたしが市民ならブチギレ金剛です!!!
…という不満をアンケートに書こうと思ったら、設問はポジティブな選択肢ばかりからの選択式&自由記入欄がほぼない&後日送付先やメールアドレスの記載がない、だったんですよー!これ、好意的な反応を示してくれた人の数だけを取るためだけに、ネガティブ意見は上がってこないように作ったやろ?!終始gdgdだったのはきっとやる気や頑張りよりも、お金や人員や経験が足りないせいでそれはもうどうしようもないですけど、このアンケが一番良くないよなって思いました。今流行りの忖度してみたのかな〜!来年もやるんならもうちょっとしっかりしてください。

と、映画祭には不満だらだらだったんですけど、プリンシパルは予想をはるかに上回って面白かったです。こんなことでもなければ絶対観なかったけど観て良かったなー!子供のときは特になんにも感じなかったマ○レードボーイの両親Sの行動、大人になった今考えるとものすごいですけど、両親Sを大量に集めてドラマを展開させたらこうなるな、って怒涛の展開でした。登場人物のほぼ全員が両親Sレベルの恋愛脳な上に、社会倫理が欠如気味*3な人が多いので本当に次の展開が読めなくて終始ハラハラしたし楽しかった!昼ドラとか韓国ドラマとか好きな人は絶対プリンシパルも楽しめると思います。わたし嗜好的にも属性的にもスイーツ映画のターゲットではないので胸キュンとかさっぱりわかんないし、でも超展開ジェットコースター作品は本当に大好きなんですよ~!!ちなみに最近一番胸キュンしたのは花組はいからさんが通る」で柚香少尉のソファグイシーンです。胸キュンっていうか胸ズキュゥゥゥゥンってした。

住友糸真(黒島結菜
母親*4の3度目の再婚相手と折り合いが悪く、学校ではいじめられ、さらにバレエでは自分は主役になれる実力がないと気付いて父親の暮らす北海道にやって来た高校一年生。これ掲載誌がフィーヤンだったら確実にリスカ過食嘔吐してるプロフィールですがCookieなので大丈夫です安心してください!全く揺るがないヒロイン、強い。ストロボエッジでもナイトヒーローNAOTOでもそうでしたけど何考えてるか分かんない顔をしてるので何考えてるか分かんない役でも違和感がない。
バレエではプリンシパルになれなかったから、恋愛ひいては人生ではプリンシパルになりたいっていうのがこの作品のテーマっぽいんですけど(原作未読なので映画の印象です)、「そうではない」ということに折り合いをつけていかなくてはいけないのが現実じゃないですか。Cookieって雑誌自体は10代後半以上、単行本は20~30代向けって印象なんですけど、どういう層がこの作品を読んでどういう風に糸真に気持ちを重ねるんだろう。そういえば10代向けの少女漫画ってとにかく読者と感性が近いことが求められるので、作者も軒並み若いんですよね。にもかかわらず量産され続けてるスイーツ映画は監督もPも大抵おじさん*5が作ってるの、なんでだろう。理由はわかりますけど…。けいおん!を24歳の山田尚子監督が作ったように、いっぺんめちゃくちゃ若い女性にスイーツ撮らせてみたら面白くなんないかな。女優、それも若い女優さんの一瞬をキレイに撮ることに執念燃やせるのはやっぱりおじさんの方がいいのかなあ。

舘林弦(小瀧望
なんで川栄じゃあかんかったんや!!!!!!

桜井和央(高杉真宙
ひたすらに顔が良いし、何考えてるか分かんない顔をしてるので何考えてるか分かんない役でも違和感がない。

国重晴歌(川栄李奈
めちゃくちゃかわいいし、いいにおいしそう。付き合ってほしい。お弁当作ってほしい。おにぎりにぎってほしい。結婚してほしい。全部無理なのは分かってるけどせめて一緒にお散歩してほしい。お金払うから!

金やん(市川知宏
いいやつ~~~~~~!!!!!!その前の亜人/曇天に笑うの挨拶がイッチーオンステージってぐらいめちゃくちゃおもしろかったんで、どこからどう見ても完全なる当て馬として出て来た瞬間笑いをこらえるのが大変でした。いい当て馬だった…。

*1:急遽追加椅子用意したとかではなく、チケ発時から買えないようにしてあった両サイド4列分が当日券だったので当然事前に分かってたはず

*2:少なくとも目の前の母娘連れはそうでしたしめっちゃ困惑してた

*3:高校教師が在学中の教え子と堂々と付き合い、さらに教え子2組を連れてお泊りキャンプに行ったりする

*4:ドドドド恋愛体質な上に元旦那の再婚相手を突然呼び出し→親子水入らずしたいから帰って!とか言う過激派

*5:上映後の舞台挨拶は監督・P・イッチーの登壇だったので改めておじさんが作ってるんだなーと。

「去年の冬、きみと別れ」ネタバレ感想

ミステリに分類される作品なので改行多めにしております。ここから下はネタバレありです。原作は未読です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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去年の冬、きみと別れの感想「よく知らない人からもらった変な色の薬を飲んではいけない」

・あと斎藤工はシリアスなシーンでは口を閉じてほしい。笑っちゃうから

・俳優としてのがんちゃんさんは上質で上品な手触りの良い闇、がやっぱりいいところだと思うんですけどそれによく合った役をちゃんともらってるし役が選べるってこういう感じなのかなあ

あーいかにも幻冬舎刊のミステリっぽい!というのが一番の感想*1。ミステリ半分、読み物半分って感じ。東京創元社読んでる層からはまあ幻冬だしねと苦笑され、他にミステリを読んでない層からは「驚愕のトリック!」って絶賛される感じ。すみません、わたしは前者なのでちょっと悪意が過ぎました。でもほんとそんな感じ。実は観る前に友人から「ネタバレになるから詳しくは言えないけど叙述トリックで、」と言われ、人生何度目かの叙述トリック叙述トリックって言及した時点で完全にネタバレしてるんだよォーって呻くマンになったんですけど、言うても最近の「2回観てほしい」ってアピってる作品はもれなく叙述トリックですし、それがなくても冒頭の「第2章」と、がんちゃんさんが持ちこんできた資料が映った瞬間に動機も犯人も叙述であることも察してしまったので公式が訴求してるほどそんなガチガチのミステリではないよなあと。どっちかというとサスペンス色の方を強く感じたし、歪んだ純愛ものと呼ぶ方がありのように思いました。化け物三人がみんな外見美しいので一言で言うなら「バロック」ですよね。やわく美しい光沢にくるまれたいびつな真珠の中にどろどろの化け物のさなぎが入ってる印象。それが全部燃えて灰になるエンドも含めてバロック
信頼してるライターさんが、韓国映画っぽいと評されていて、なるほど確かにそれもあるんですけど、韓国映画って妙に「寒い」または「暑い」に振りきれてないですか?韓国には何度か行ってるんですけど、やたら真冬に行く羽目になることが多くて、日本とは比べ物にならないぐらい寒いんですけど、それが画面にも出るのかそれとも単にわたしが連想してるだけなのか、韓国映画は不思議とすごく寒いかすごく暑いのどちらかを感じることが多いです。対して「去年の冬~」は夏のシーンも冬のシーンも、燃える火事のシーンも温度を感じなかった。それが良くないと言いたい訳ではないんですけど…古い映写機からのぼんやりとした映像を眺めてるような時間が続く中、元恋人が雨の中傘を落とすシーンと、がんちゃんさんが地下駐車場の入り口で木原坂姉を待つシーンだけが底冷えがするように寒かったです。雨のシーン、元恋人の方が100%正しくて辛かった。
しかしがんちゃんさんの闇さはどこからくるんでしょうね。大人気の三代目の中でも大人気のパフォで、いいとこのボンボンで、顔も甘めで笑顔がかわいいキャラなのに俳優となると闇キャラばっかり配役されてるし仕上がりもザ・闇キャラばっかりなの、なんでなんだろう。ナイスキャスト!とは思うんですけど、一回ぐらいとんでも光属性のキャラに配役されて事故るかそれともなんか予想外の仕上がりになるのか確かめてみたさある。次の連ドラ初主演のホテルマンだって絶対なんか仄暗い過去持ちでしょ…。一度ぐらい光キャラやってみてくれ…。ワイルドヒーローズのチョコですか?あんなの、闇しか感じません!!!

*1:余談ですが先日観た「曇天に笑う」も感想は「マッグガーデンぽい」

雪組 ひかりふる路・Super Voyagerライビュ感想

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千秋楽ライブビューイングで観てきました!初めてのヅカライビュ、いつも空いてる地元のシネコンでみたんですけど、一番大きいスクリーンが満席でびっくりしたし、席を埋めてる人達がなんていうか劇場でも地元でもあんまり見ない感じの…10年前のビッグ○イトにごろごろいたよね?って人が多くて、どこからやってきたのか本気でわかんないし、ヅカ界隈まだまだ謎が多い…。

サンジュスト君がロベスピ強火担という事前情報と、あとは一般常識レベルのロベスピエールの知識しかない状態だったんですけど、もーめちゃくちゃおもしろいしなによりすっごい好きなタイプのお話でした!思わず円盤買ってしまったので興味もった友人知人は気軽に声かけてくれよな!物語に関しては光属性が圧倒的に好きなので、こういう絶望のどん底でもなお希望を求めてもがく人間のお話大好きなんですよ〜!しかも登場人物は闇属性っていうの…さいこう…すき……。冒頭の議会のシーンとか割と前向きな雰囲気で始まるんですけどもう最初から壇上の人達のお衣装にもれなくギロチンのラインがはいってるし、セットにも斜めの光が入ってて今にも刃が落ちてきそうな演出、最高にクールで不穏で好きです。まどマギ1話のアバンぐらいの不穏感。ひかりふる路ってタイトルからしていいですよね。そんなの、絶対ひかりにたどり着けないってタイトルでネタバレしてるじゃん…。希望は必要だよ、どんなときにもねの世界じゃん…。脚本・演出の生田大和先生の過去作調べたら月組「春の雪」*1を担当されてた方でした。理想を抱いて溺死するクズを描かせるなら生田先生、ちぃ覚えた。あと曲がめちゃくちゃかっこよかったので観終わって即調べたらワイルドホーン先生でした。ま、またお前か〜!!最近曲がいいなと思ったら必ずこのおじさん(例:デスノミュ)なので逆に他に人材いないのかと絶望してます。こんどスカピンみるね…。

マクシミリアン・ロベスピエール(望海風斗さん)
知ってたけどお歌がうまい~!!実際に観たのは花組エリザのルキーニだけで、その記憶が強いせいかワイルドなラテン男(ただし属性は陰)っていうイメージがあったんですけど、こういう頑固で脆くて善き人物もしっくりくるんですね。そもそもだいもんさん歌うまい演技うまいビジュ良しの超ハイスペなのでできない役なんてないのかもしれない。ローマ風のショーするところ、堂々としてめちゃくちゃ似合ってるだけに逆に滑稽で本当に悲しかった。

マリーアンヌ(真彩希帆さん)
お歌がうまい~!!(2回目)そりゃあワイルドホーン呼んでくる意義があるってもんですね。ヅカって結構トップと娘役が両想いになるまでが省略されてる感を感じることが多いんですけどひかりふる路はそこがちゃんと描かれてて、頭の固いおたくにも納得できてよかった。ちょっと十二国記の風の万里〜を思い出しました。あとものすごいどうでもいいですが、ロペスピ先生殺すために握りしめてたナイフ、チャッカマンに見えません?途中カチッ…カチッ…て音が入るシーン、完全にチャッカマンがなかなかつかなくて困ってる人だった。マリーアンヌちゃん、BBQの火起こしは男の仕事よ!最後、ロベスピエールとそれぞれの牢で処刑を待ちながら、もしも普通に出会えたなら?って話をするんですけど、夢に浮かされたように語ったあとにマリーアンヌがすっと醒めて「いいえ、出会わなかったわ」って現実に戻るの、クール過ぎてしびれました。しかもマリーアンヌだけ助かっちゃうの、絶望すぎませんか~!

ダントン(彩風咲奈さん)
松崎しげるかな?!なんか黒かった。わたしこの人がどのタイミングでどう死ぬのか知らなくてハラハラしてたんですけど、パリにもどってきてほぼ即死で辛かった。しかも明らかに死ぬの分かって戻ってきたタイミングでしたよね。ダントンのひかりは太陽のように大きいのかもしれないけど、ずっとずっと何万光年も遠くて豆電球ぐらいにしか役に立ってない。寂しい。一番しあわせそうに行ってしまったのがまたさびしい。

サンジュスト(朝美絢さん)
花のサンジュストくんだ~!!!超顔が良かったらしいことしか知らないんですけど、朝美絢さんの顔の良さがいかんなく発揮されていました…顔がいい…。ひかりふる路、再演するにあたって3~4番手にとにかく顔のいい人がいる組でないとできないという呪いかかったんじゃないのか。顔が良くてもかっこいい系じゃダメだしな。大変だな!?冒頭、茶の間だったサンジュストくんが憧れのロベスピ先生の初現場でファンサもらってめちゃくちゃテンアゲするんですけど、直後に推しのカノ(未満)バレして、秒で闇落ちしてたし、その闇落ちの瞬間をばっちりライビュカメラに抜かれて面白かったです…カメラいい仕事しすぎでしょ!こんだけキャワな子に言い寄られてもロベスピ先生は全然なびかないんですけど、サンジュストくんはめげずに同担を蹴り落とし、推しの交友関係を潰し、ローマ時代のお衣装一式をプレボにぶちこんで、ロベスピonステージの生誕委員して…とめちゃくちゃガッツなんですけど、そこにロベスピ先生の意思はないんですよね。サンジュストくん推しの気持ちガン無視。でも推し事の本質ってそこにあるよなあなどとメタ的なことを思ったりしました。BREACHのメガネ握りつぶす人のセリフに「憧れは理解から最も遠い感情だ」というのがあって、孫ちゃんが好きなセリフとして引用してるインタビューを読んでから時々思い返すんですけど、それは全くその通りなんですが、逆もまた真なりで憧れを維持するには理解なんて不要なんですよね。手が届かないからいいんですよ。そういう意味ではヅカはほんとちょうどいいなって思います。だって最初から最後まで全部嘘で幻だもん。

Super Voyager
ショーだけはライビュよりも先にNHK版を視聴済みだったんですが、NHK版、すごかったですね?!わたしのご贔屓のみりおちゃん*2は2列目どセンで観た時ですら目線はくれても目があった感覚はなかったのに、Super Voyager冒頭で空から降りてくるだいもんさん、TVの中にいるのにばっちりわたしに目を合わせてきて恐怖を覚えました。うわ今目が合っちゃったよ恥ずかしい!って思った瞬間に「恥ずかしがらないで」って言われたときは死んだ。姿はもちろん心の中まで見られている…!でもライビュ版の時はなぜか目線くれませんでした。ライビュ会場はたくさん人がいるからわたし一人だけにファンサしちゃダメって考えたのかな~。気配りですね!
全体的に好きなショーなんですけど、朝美絢さんの女装*3だけは普通にめちゃくちゃかわいくて、なんかやだなって思いました。わたし、ヅカの女装のオカマ感あふれてるの(例:花組の水美舞斗さん)は大好きなんですけど、みりおちゃんとか朝美さんとか普通にかわいい人が女装してしまうと「あ、やっぱり女の子なんだ…よね…」って夢から覚めてしまう気がするのと、あとあくまで男役は男なので娘役の代用品にはしてほしくないんですよね~。
あ、あと暴風雨の口パクもやだ…お歌でズコーってなるの、お芝居のシリアスパートならまだしもショーの時はそれはそれでおもしろポイントので、個人的にはズコーでもいいから歌ってほしいし、録音流すぐらいならボーカルなしでよかったなあ。本家ジェネみたく、二人ボーカル役にして歌うのでもいいですし…でもその点を抜いたら暴風雨のとこ、めちゃくちゃ好きです!アイドル~!!!本家ジェネと違って細身のお衣装のせいかとにかくみんな足が長くてモンティパイソンのバカ歩き省かなって思いました!
ライビュのあとに同じ野口先生のショー処女作の星組「THE ENTERTAINER!」を観たんですが、わたしの大大大好きな藤井先生の「EXCITER!!」にそっくりで、他にも女装多用とかバックステージ感とか野口先生は藤井先生の直系なのかなあと思ったんですけど、この男アイドルパート入れるのが野口先生のこだわりならもっともっとやってほしい。毎回いれよ!藤井先生はギラギラだけど、野口先生はキラキラって感じする。ヅカってどうしても体質や体制が古いって感じることが多くてそこはちゃんと新陳代謝してってやきもきするんですけど、暴風雨の最後に肩組みながら「ライブビューイングでご覧のみなさーん!」って言ったの萌え過ぎてみんな大人しくみてる会場だったのに思わず声が出そうになって必死で我慢して結局ぐへっみたいな息をはいてしまったし、他の(といってもLDHぐらいしか知らないんですが)ライビュのいいとこ取りこんでる感あってうれしくなりました。LDHはネ…なんかよりヅカと提携しよ!ていうか次のハイローにはカジノパート入れてそこの演出を藤井先生にお願いするべき。あと柚香光さんは卒業後はLDHに所属するべき。HIRO神のLINEください!

*1:みりおちゃん主演・三島由紀夫原作。主役のキヨ様は大体光源氏と同程度のクズ度

*2:花組トップスターの明日海りおさん

*3:男役が女性の役をすること

TANIZAKI TRIBUTE「悪魔」完成披露(ネタバレ感想)

鬼邪高の女のくせに全日のプリンス轟洋介をまだ生で見たことがない!ということで行ってきました〜!TANIZAKI TRIBUTEとして谷崎潤一郎作品の中から三人の監督がそれぞれ選んだ一作を舞台を現代に変えて映画化するという企画。完成披露には三作品全てから登壇するので、てっきり短編三作構成で全部上映するんだとばかり思っていたら、三作それぞれ映画一本分の尺があって当日は「悪魔」だけを上映するってチケット取ってから気づきました。結果的に前田公輝くんの出るやつだったのでよかったです。でも当日流れた予告見たらあと2作も面白そうだったので、どれでもよかったかな。会場のテアトル新宿、初めて行ったんですがロビーはオサレで綺麗なのに劇場内はなぜかごちゃっとした人ん家感あって不思議な感じでした。あと座席が赤い*1のはいい!なんか椅子が赤いとテンション上がります。闘牛か。

tanizakitribute.com

■舞台挨拶について
前述の通り、三作分の登壇者がいるのに上映するのは一作だけなので、まだ観てなければこれから観るわけでもない映画の話を聞くのは変な感じ。あと人数は多いのにほぼみんな段取り良くなくてトークかつかつな上にでんでんおじいちゃんのハピバまでやろうとしててしっちゃかめっちゃかになってたのが楽しかったです。

・内田慈さん
去年、散歩する侵略者を観に行ったぶりだったんですが、いつ見ても原作漫画の方の深夜食堂にいそうだなーって思う。あと、出演作「神と人との間」の内容に絡めて中学の時の告られエピを話してくれたんですけど、めっちゃモテてたっぽくて、わかる〜〜わたしもこういう彼女や奥さんと気候が良くてメシのうまい瀬戸内海の島あたりで気ままに暮らしたい。でもある日突然失踪されそう。買い物から帰ってきたところで、あ、途中でネギ落としちゃったみたい探してくる!って言って出て行ってそのまま帰って来なさそう感ある。この内田さんに感じるあれこれ、一言で表すとしたら「キョンキョン感」だ。すっきりしました。

・でんでん
おじいちゃんしっかりして!

片山萌美さん
足が強い。

吉村界人くん
上映作の主演ということで締めの挨拶してたんですけど、あんまり喋りはうまくなくて(失礼)でも一所懸命に、自分は映画が好きだから、このテアトル新宿に、映画館に来てくれて嬉しいありがとうということを話していてじんわりきました。観劇は逆に覚悟決めれるんですけど、映画館行く時間捻出するの結構めんどうなんですよね。自分にとって、他にやりたい娯楽もいっぱいある中で、映画館で映画を観るという行為を選ぶのは時間の使い方としては割と贅沢な気がしているので、作り手の側がそれをちゃんと分かってくれてるとなんとなく嬉しいです。

・前田公輝くん
出てきた瞬間、あっ不二家の店頭にいるやつだって思いました!なんか妙につるつるしてるとこといい、すごいペコちゃんみある。でも映像やお写真でみた時の印象からそんなに変わらないかな。あのまんまかわいいしかっこいいししゅっとしてる〜〜!最初に登壇者が順に挨拶してくターンで他はみんな「(役名)を演じた〇〇です」って名乗ってたのに、前田くんだけ「鈴木を演じました」だけで済ませてて、おっ名乗らなくても今日きてるやつらはみんな俺の名前知ってんだろ?*2ってことか?!強気やな!!って笑ってたんですけど、単に名乗り忘れてただけらしく、その後作品について語るターンが回ってきたときに「さっき言い忘れたんですけど前田公輝っていいます」って言い直してて、でもそこまでの進行がぐだってたせいか司会の人が巻きモードに入ってて、こんな面白発言を完全スルーしてたのが今日イチ楽しかったです。

■映画本編について
※この映画はエビが死にます。
の注意書きが必要だなって思いました。エビの印象が強すぎて内容思い出すのにまずエビのことを忘れる作業が要る。あまりにエビ推しなので、原作でどういう扱いだったのか気になって、鑑賞後に買って読んだんですけどまさかのエビ、映画オリジナルだった!もしかして他の谷崎作品から持ってきたモチーフの可能性もあるのかな…そうでないなら監督はよっぽどエビが好きかエビが怖いかのどっちかですね。わたしはエビ吐くシーンとかエビが死んでるシーンより庭を闊歩してるエビが怖かったです。なんの暗喩なんだあれは。人間が嫌いな神経衰弱の大学生佐伯と、その下宿先の娘の悪魔なJK照子と、その同居ストーカーの鈴木と、佐伯の世話を焼きたがる大学のクラスメイトあゆみと、登場人物がみんなちょっとずつ壊れてて、その歪みが不協和音のように増幅されて最後破滅するっていう話なんですけど、わたしはこの作品で一番頭おかしいのは下宿屋のおかあさんだなって思ってしまったのでちょっと作品に入りこむのが難しかった。原作が発表された百年前ならそりゃ年頃の娘がいるご家庭が稼業として下宿屋やっててもおかしくないけど現代じゃあなあ…学生向けマンションの住み込みの管理人さんとか寮母さんじゃダメだったのかな。あと鈴木みたいなの住まわせてちゃだめでしょ〜〜。吉村くん演じる佐伯は百年前のインテリ層と言われても、現代っ子の大学生と言われてもそのどっちにもふさわしい不思議な雰囲気を持っててよかったです。鈴木はキモい。顔かわいいのにすごくキモい。やたらリアリティのある「知ってるキモさ」で、狂気とも違う、歪んだ眼鏡越しにしか世界が見えてない感じ。確かにこういう人はいるんだけどごーきまえだくんは子役からずっと芸能界にいるのにどこでこんなモチーフを学んでくるんだろう。観終わった後、なんだか自分の手がネタネタ汚れているような気がして無性に手を洗いたくなる、そんな湿度のある作品でした。

*1:公式サイトの画像は青かったので幻覚…?と焦ったら、2017年12月に赤に貼り替えたばかりだそう

*2:実際前列は自分含め前田くん目当てなんだろなーって人が多かった。

月髑髏(上弦)で髑髏城デビューしました(ネタバレ感想)

12月1日昼公演。映像含めて初髑髏城、後期のチケットも確保していたので事前下調べは一切せず、知っていた情報は「元々は捨之介と天魔王を古田新太一人二役する演目」「これまで女の子だった役が今回男」「風髑髏はむかいりが顔小さすぎて見えない(友人のライビュ感想)」ぐらいという状態でした。その後WOWOWのアカドクロを観たのでそれも含めての以下、ネタバレ感想です。その二つしか観てないので勘違いや分かってないところあったらごめんなさい!

 

捨之介、かっこよさが凄まじすぎる…!! 

もともと福士くんが観たくてチケット取ったんですけど、故ナンシー関の芸能評で、藤原紀香広末涼子はどちらも価値は和牛1万円分だけど、藤原紀香は1万円分の生肉の塊の現物なのに対して、広末涼子は1万円分の肉と交換できる商品券って語ってた(細部違ってたらすみません)のが一番印象に残ってるんですけど、今まで観てた福士くんが商品券なら福士捨は生肉の塊ってかんじでした。かっこよさに重さと手応えがあった。チケットがほぼ全席13000円でヅカのSS席*1を上回るとか生オケでもないのに高けーよって思ってましたけど福士捨になら全然払う。その価値がある。
そもそも福士くんに興味を持ったのは孫ちゃん(このブログは俳優の山田裕貴さんをイマジナリー孫として応援しています)と仲良しだからで、孫ちゃんって単純なかっこよ度に関しては映像や写真でみるより生でみる方が断然輝いてて、はまってから1年、いろんな人と並んで登壇してるところを見てきましたけど隣にどんなイケメン俳優が来ようがどんな人気アーティストが来ようが、生で見るなら断然山田裕貴の方が華があるし目を引くし周りに星が浮かんでるし全然勝ってるってニヤニヤしてたんですけど、唯一、あ、無理、向こうの方がかっこいい負けてる…ってなったのが福士くんだったんですよね。で、もう正直に書きますけど福士くんって演技が割とまあアレじゃないですか!?生で並んでるところみたのはぼく明日の舞台挨拶だったんですけど、ぼく明日すごい面白くて大好きなんですがやっべえ小松菜奈ちゃんありがとうってレベルにセリフ回しがズコーだし、福士蒼汰、いつ観ても顔の演技が3パターン(虚無・虚無寄りの微笑み・驚き)しかねえ!って友人と笑ってたんですけどそれでも福士くんが主役という謎の説得力だけはとことんあって、そういう存在が孫ちゃんと仲が良いとか業が深過ぎるじゃないですか…持ってるものが真逆やん…なのでちょいちょい福士くんの出演作は観てたんですけど、初舞台初主演とか観たいに決まってるし、なにより長年愛されてる演目だし、金がかかってることと面白さは担保されてるので多少福士くんがズコーでも大丈夫でしょ〜てかマモと比較されるとかどんなプレイだよwwwwって軽率に足を運んだんですけどすみませんここまで書いたこと全部謝ります。ごめんなさい!!!わたしの目が節穴でした!福士くんの良さ、なんも分かっちゃいなかった!とにかくかっこよかったしとにかく輝いていたし、なんかもうめちゃくちゃにかっこよかったです。おたくすぐ語彙力を見失うからしばらくフクシクンカッコイイ…カッコイイ……カッコイイヨー…て呻くファービーになってたし、手のひら5回転半ぐらいクルーして手首ねじ切れるところでしたが、ファービーそもそも手がないから大丈夫だったよかった。ちなみに前述の友人も後日観た後、福士蒼汰のファンです言いだしてて超笑いました。
ヅカが好きなぐらいですし、チケット代と時間と移動の手間をかけて映像ではなく生の舞台で何を観たいのかといわれたらやっぱりスターを観たいんですよね、わたしは。面白い物語やドラマティックな演出や細やかな心の機微は漫画や小説や映画で摂取する方が性に合ってるようなので。福士くんはすんごいスターだったし、しみじみとスターって本当に星だからスターなんだなって思いました。太陽じゃないんだ。ひとりで立たせておくよりも、満天の星のごとく大勢の中に立たせた時に一際輝くからスターなんだなって。ちなみに孫ちゃんは目を引く華やかさはあると思うけど、ひとりで立ってるときに美しいところが多分好きなところです。だからやっぱり福士くんの在りようとは全然違うんだなー。おたくすぐ推しの話してごめんな…それも概念で…でも山田裕貴にはまってから孫ちゃん以外の映画や舞台もちまちま観るようにしてるの、結局孫ちゃんのどこがいいのかどこが好きなのかを確かめたいし、ちゃんと他を知った上で一番好きって言いたいからってのもあったりします。わたし、わりと勤勉なおたくっぽいので…。

捨之介(福士蒼汰
とにかくかっこよかった。ていうか一個前の記事でも遠藤さんかっこいいしか言ってないですね…かっこいいオブザイヤー2017は福士捨、遠藤さん、柚香少尉*2がトップ3でした。ただ、本当に頭のてっぺんからつま先まで粋な色男なのに、作中で一切イケメンとして扱われる描写がない上に、霧丸が男なせいで誰かに恋心を向けられることもなく、完全にかっこよさが宙に浮いている問題はなんとかしてほしい。あんだけかっこいいのに、無界の里の女の子にキャー♡とも言われないっておかしくないです!?わたしなら言うし握手してもらうしチェキ撮りたいもん。ぼっち観劇だったのもあって、観終わった後、誰とも福士捨のかっこよさを分かちあえなくて困った。せめて作中の誰かとそれな!って言いたかった…福士捨かっこいいが過ぎない?それな、分かる、分かりみしかない〜!(おたくの共感三段活用)
他の花鳥風の捨も見る限りイケメンぽそうだったのでこれすごい不思議だったんですけど、アカドクロを観たら古田新太の捨が金髪パンチパーマに襟足長い田舎のdqnスタイルのおっちゃんだったので、あっ捨って元々はイケメンじゃなかったんだ…て理解しました。てかおじさんと少女のカプ大好きなので、沙霧→捨の淡い恋心めっちゃ萌えたし、もし月髑髏も沙霧だったら沙霧に自己投影するヤバいドリ女爆誕してましたね〜〜危なかった!捨沙の夢小説ください!女の子じゃなく、霧丸だったことで出てたのは捨之介の「若さ」かなあと。完全に霧丸に救われてた。光の霧丸…尊い…。
古田捨が自分が捨てたものがなんだったのかはっきり認識してそうなのに対して福士捨は何を捨てたのか、何を持ってたのかよく分かってないように感じました。捨てたというより失ったんじゃないのか。信長様のことも自ら志願して仕えた相手というよりも、父親とか兄とかに近い、物心ついた時には側にいて、生きてく上で手を引いてくれる存在として捉えてたのかなって。天魔王が死んだ時、親とはぐれた子供みたいって思ったし、その後もちゃんと生きると決めるまでずっと迷子の顔をしてるように見えました。かっこいいんだけど子供なんですよ…自分が助けたはずの霧丸に助けられて、ようやく自分はもう一人で歩かなきゃいけない大人なんだと分かったみたいな。チャラチャラしてる一幕はまだぎこちなさもあるんですけど、二幕の殺陣に次ぐ殺陣でだんだん疲れてきて髪も着物も乱れてからがとにかくいい。声にも顔にも疲れが滲んでるのが、道を見失ってもうどう生きていいのかわかんない戸惑いそのものだった。だからどこまで捨なのかそれとも福士くんなのかはっきりしないといえばそうなんですけど…でも最後はちゃんと疲れもなく、自分の意思で父親殺し(概念)×2の罪を川に流して自由を手に入れた顔で新しい人生の幕を開けて去っていったのでやっぱり捨之介だな。定期的にこのかっこよさを摂取したいからまた舞台やってください。

蘭兵衛(三浦翔平)
メ、メンヘラ女だ〜〜〜!!!昔の仲間の捨之介にも一緒に無界の里を作った極楽太夫にも全然興味がなさそうだし、まじで信長様のことしかみてないしあんだけドヤって単身髑髏城に乗り込んでおいて、秒で天魔王に取り込まれてるしチョロインすぎんか!?って思ってたら、こっちも元は女性が演じる女性の役だったんですねー。そりゃ男が演ったらメンヘラ女になるわ。でもアカドクロの水野美紀太夫に同志としての友情をちゃんと持っていたり、女のめんどくせー感情もあったりそういう感情のごった煮状態がいかにも女性だなって思ったのに対して、三浦蘭兵衛は信長様以外には完全な無関心って感じでした。きっと信長様が死んだ時にもう心は死んでて、感情とは別の部位によって正しいと判断したことを機械的にこなしてきただけで、無界の里にすら特に愛着はなさそうだった。全然関係ないんですけどこの興味のなさは宙組エリザベート思い出しました。姿月あさとさんのトート、お花様のシシィに1ミリも興味なさそうで、あれはなんだったんだ?ってたまに思い返しては不思議な気持ちになる。死神としてはプロ意識高かったのかもですけど…。
むかいり蘭がとにかく顔小さすぎてなんも見えないという話を聞いてたんですが、三浦翔平は顔大きいわけじゃないけど個々のパーツは大きくて派手な顔だし、闇堕ちしてからは目を見開いたり苦悩に歪めたり退廃的な美しさがはっきり見えてよかった。ただ、そんな感じに表情豊かに演じてたのにどういうわけかカテコの時は完全な無になってて怖かったです。あれは死後の蘭兵衛のイメージなの…かな…?誰にも心を開かずに死んでったけど、信長様への気持ちは誰にも共感も理解もされたくなかっただろうし、その気持ちひとつを抱えて一人で死んでくの、メンヘラ女的には大往生でしたねよかったね(?)しかし、孫ちゃんが髑髏城に出るなら脳内キャスティング会議を開催したら何回やっても蘭兵衛で決議されてしまうので困る。メンヘラは金山龍太くんで間に合ってます!

天魔王(早乙女太一
メ、メンヘラ女二号だ〜〜!?最初天魔王になる由来を説明してくれるんですけど、天天言い過ぎてててんてんてんてんててんがてんって言ってるようにしか聞こえないし、アカドクロ観てもよくわかんなかった。結局天魔王ってなんなんです?バカですまねえ今度パンフ買います。上弦の月は、信長様・天魔王・蘭兵衛で完全に人間関係が閉じてて、捨が余ってるのが気になったんですけど、アカドクロ観て蘭兵衛が女で、天・捨が表裏一体で信長様の方を向いてる構図に超納得しました。
やっぱり身のこなしのキレが他とは違ってて、腕も足も指も常人より関節が一つずつ多いのでは?!ってぐらい末端まで制御されてる動きをしていました。福士くんより大分背が低くて身体も細いので、捨と対決するシーン、初めは立派な鎧武者だったのが少しずつ剥がされて痩せた小男になって、そのまま落ちていくのが悲しかった。来世では姉姉弟の末っ子として生まれて姉二人に可愛がられる幸せな人生を送ってほしい。

極楽太夫(高田聖子)・兵庫(須賀健太)
おっかさんと末っ子だった!カテコで太夫の裾持ってはけてくのかわいすぎる…幸せにおなり…初演の極楽太夫羽野晶紀と知って膝連打するほど納得したし、羽野晶紀太夫を観るために下弦も行きたい〜。あと、荒武者隊で片肌脱いで刺青いれてる青い着物の人と、無界屋女子の左端にいたつり目の人がめっっちゃ顔がいいな…って思ったんで誰なのか知りたい。パンフ買います…はい…でもキャストの顔写真ぐらいサイト載せといてくれよ〜

霧丸(平間壮一)
光の霧丸〜!!さわやか、さわやか、そしてさわやかって感じ。元々女の子だったキャラを男にしたと聞いて、なんだなんだBLでもやんのか?!って思ったけど別にそんなことはなかった。捨之介のこと救ってくれてありがとうございます!

アラウンドシアターについて
川のセットすごい!これはもうぶっちぎりでよかったです。福士捨が素足で水をじゃぶじゃぶするたびに飛び散る水滴がライトに乱反射して、夢のように美しかった。あと、舞台が低くて客席が舞台のぎりぎりまで配置してあるので、前方席だと本当に目の前にキャストが立ってるっていう距離感はすごいと思いました。今度3列サイドで観るので超楽しみです。メリットはそれぐらい。
デメリットとしてはとにかく見切れがひどい。初見は7列中央だったので正面の見切れはなかったんですけど、それでも袖側は客の頭でかなり見えなかったし、鍛冶場なんかはサイドからはほぼ見えないだろうなあと。それと舞台セットが固定ということは舞台装置が出たり入ったりのギミックがなく、わたしはそういう演出がすきなので物足りなさを感じたし、全然平気な人もいるらしいので人によるんでしょうが、わたしは客席が動き出すたびにおえっとなったし、そのせいでいつ動くか常に気になって集中できなかったので個人的にはメリットよりもデメリットの方が多いなーと思いました。退場が舞台通るのもわたしは萎える派です。第四の壁壊さないで!あと、観たのが12月1日だったんですけど、休演日挟んでその前の11月29日が例の下弦中止の日でして…そういうトラブルが起きることも、そのあとの劇場公式twitterの対応の酷さにもイライラしたので普通の劇場の方がいいなあ。立地もよくないし。豊洲流してるタクシーの運ちゃんに劇場名言って通じないってひどない?!極のあと、何に使うんだろう。もう潰しちゃっていいんじゃないかな〜アラウンドシアター爆破セレモニーしよ!

*1:12000円。ただし当然ご用意はされない

*2:花組はいからさんが通る