強く生きる

HiGH&LOWと山田裕貴関連用。本業はオタクです。

「去年の冬、きみと別れ」ネタバレ感想

ミステリに分類される作品なので改行多めにしております。ここから下はネタバレありです。原作は未読です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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twitter所感。

去年の冬、きみと別れの感想「よく知らない人からもらった変な色の薬を飲んではいけない」

・あと斎藤工はシリアスなシーンでは口を閉じてほしい。笑っちゃうから

・俳優としてのがんちゃんさんは上質で上品な手触りの良い闇、がやっぱりいいところだと思うんですけどそれによく合った役をちゃんともらってるし役が選べるってこういう感じなのかなあ

あーいかにも幻冬舎刊のミステリっぽい!というのが一番の感想*1。ミステリ半分、読み物半分って感じ。東京創元社読んでる層からはまあ幻冬だしねと苦笑され、他にミステリを読んでない層からは「驚愕のトリック!」って絶賛される感じ。すみません、わたしは前者なのでちょっと悪意が過ぎました。でもほんとそんな感じ。実は観る前に友人から「ネタバレになるから詳しくは言えないけど叙述トリックで、」と言われ、人生何度目かの叙述トリック叙述トリックって言及した時点で完全にネタバレしてるんだよォーって呻くマンになったんですけど、言うても最近の「2回観てほしい」ってアピってる作品はもれなく叙述トリックですし、それがなくても冒頭の「第2章」と、がんちゃんさんが持ちこんできた資料が映った瞬間に動機も犯人も叙述であることも察してしまったので公式が訴求してるほどそんなガチガチのミステリではないよなあと。どっちかというとサスペンス色の方を強く感じたし、歪んだ純愛ものと呼ぶ方がありのように思いました。化け物三人がみんな外見美しいので一言で言うなら「バロック」ですよね。やわく美しい光沢にくるまれたいびつな真珠の中にどろどろの化け物のさなぎが入ってる印象。それが全部燃えて灰になるエンドも含めてバロック
信頼してるライターさんが、韓国映画っぽいと評されていて、なるほど確かにそれもあるんですけど、韓国映画って妙に「寒い」または「暑い」に振りきれてないですか?韓国には何度か行ってるんですけど、やたら真冬に行く羽目になることが多くて、日本とは比べ物にならないぐらい寒いんですけど、それが画面にも出るのかそれとも単にわたしが連想してるだけなのか、韓国映画は不思議とすごく寒いかすごく暑いのどちらかを感じることが多いです。対して「去年の冬~」は夏のシーンも冬のシーンも、燃える火事のシーンも温度を感じなかった。それが良くないと言いたい訳ではないんですけど…古い映写機からのぼんやりとした映像を眺めてるような時間が続く中、元恋人が雨の中傘を落とすシーンと、がんちゃんさんが地下駐車場の入り口で木原坂姉を待つシーンだけが底冷えがするように寒かったです。雨のシーン、元恋人の方が100%正しくて辛かった。
しかしがんちゃんさんの闇さはどこからくるんでしょうね。大人気の三代目の中でも大人気のパフォで、いいとこのボンボンで、顔も甘めで笑顔がかわいいキャラなのに俳優となると闇キャラばっかり配役されてるし仕上がりもザ・闇キャラばっかりなの、なんでなんだろう。ナイスキャスト!とは思うんですけど、一回ぐらいとんでも光属性のキャラに配役されて事故るかそれともなんか予想外の仕上がりになるのか確かめてみたさある。次の連ドラ初主演のホテルマンだって絶対なんか仄暗い過去持ちでしょ…。一度ぐらい光キャラやってみてくれ…。ワイルドヒーローズのチョコですか?あんなの、闇しか感じません!!!

*1:余談ですが先日観た「曇天に笑う」も感想は「マッグガーデンぽい」

雪組 ひかりふる路・Super Voyagerライビュ感想

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千秋楽ライブビューイングで観てきました!初めてのヅカライビュ、いつも空いてる地元のシネコンでみたんですけど、一番大きいスクリーンが満席でびっくりしたし、席を埋めてる人達がなんていうか劇場でも地元でもあんまり見ない感じの…10年前のビッグ○イトにごろごろいたよね?って人が多くて、どこからやってきたのか本気でわかんないし、ヅカ界隈まだまだ謎が多い…。

サンジュスト君がロベスピ強火担という事前情報と、あとは一般常識レベルのロベスピエールの知識しかない状態だったんですけど、もーめちゃくちゃおもしろいしなによりすっごい好きなタイプのお話でした!思わず円盤買ってしまったので興味もった友人知人は気軽に声かけてくれよな!物語に関しては光属性が圧倒的に好きなので、こういう絶望のどん底でもなお希望を求めてもがく人間のお話大好きなんですよ〜!しかも登場人物は闇属性っていうの…さいこう…すき……。冒頭の議会のシーンとか割と前向きな雰囲気で始まるんですけどもう最初から壇上の人達のお衣装にもれなくギロチンのラインがはいってるし、セットにも斜めの光が入ってて今にも刃が落ちてきそうな演出、最高にクールで不穏で好きです。まどマギ1話のアバンぐらいの不穏感。ひかりふる路ってタイトルからしていいですよね。そんなの、絶対ひかりにたどり着けないってタイトルでネタバレしてるじゃん…。希望は必要だよ、どんなときにもねの世界じゃん…。脚本・演出の生田大和先生の過去作調べたら月組「春の雪」*1を担当されてた方でした。理想を抱いて溺死するクズを描かせるなら生田先生、ちぃ覚えた。あと曲がめちゃくちゃかっこよかったので観終わって即調べたらワイルドホーン先生でした。ま、またお前か〜!!最近曲がいいなと思ったら必ずこのおじさん(例:デスノミュ)なので逆に他に人材いないのかと絶望してます。こんどスカピンみるね…。

マクシミリアン・ロベスピエール(望海風斗さん)
知ってたけどお歌がうまい~!!実際に観たのは花組エリザのルキーニだけで、その記憶が強いせいかワイルドなラテン男(ただし属性は陰)っていうイメージがあったんですけど、こういう頑固で脆くて善き人物もしっくりくるんですね。そもそもだいもんさん歌うまい演技うまいビジュ良しの超ハイスペなのでできない役なんてないのかもしれない。ローマ風のショーするところ、堂々としてめちゃくちゃ似合ってるだけに逆に滑稽で本当に悲しかった。

マリーアンヌ(真彩希帆さん)
お歌がうまい~!!(2回目)そりゃあワイルドホーン呼んでくる意義があるってもんですね。ヅカって結構トップと娘役が両想いになるまでが省略されてる感を感じることが多いんですけどひかりふる路はそこがちゃんと描かれてて、頭の固いおたくにも納得できてよかった。ちょっと十二国記の風の万里〜を思い出しました。あとものすごいどうでもいいですが、ロペスピ先生殺すために握りしめてたナイフ、チャッカマンに見えません?途中カチッ…カチッ…て音が入るシーン、完全にチャッカマンがなかなかつかなくて困ってる人だった。マリーアンヌちゃん、BBQの火起こしは男の仕事よ!最後、ロベスピエールとそれぞれの牢で処刑を待ちながら、もしも普通に出会えたなら?って話をするんですけど、夢に浮かされたように語ったあとにマリーアンヌがすっと醒めて「いいえ、出会わなかったわ」って現実に戻るの、クール過ぎてしびれました。しかもマリーアンヌだけ助かっちゃうの、絶望すぎませんか~!

ダントン(彩風咲奈さん)
松崎しげるかな?!なんか黒かった。わたしこの人がどのタイミングでどう死ぬのか知らなくてハラハラしてたんですけど、パリにもどってきてほぼ即死で辛かった。しかも明らかに死ぬの分かって戻ってきたタイミングでしたよね。ダントンのひかりは太陽のように大きいのかもしれないけど、ずっとずっと何万光年も遠くて豆電球ぐらいにしか役に立ってない。寂しい。一番しあわせそうに行ってしまったのがまたさびしい。

サンジュスト(朝美絢さん)
花のサンジュストくんだ~!!!超顔が良かったらしいことしか知らないんですけど、朝美絢さんの顔の良さがいかんなく発揮されていました…顔がいい…。ひかりふる路、再演するにあたって3~4番手にとにかく顔のいい人がいる組でないとできないという呪いかかったんじゃないのか。顔が良くてもかっこいい系じゃダメだしな。大変だな!?冒頭、茶の間だったサンジュストくんが憧れのロベスピ先生の初現場でファンサもらってめちゃくちゃテンアゲするんですけど、直後に推しのカノ(未満)バレして、秒で闇落ちしてたし、その闇落ちの瞬間をばっちりライビュカメラに抜かれて面白かったです…カメラいい仕事しすぎでしょ!こんだけキャワな子に言い寄られてもロベスピ先生は全然なびかないんですけど、サンジュストくんはめげずに同担を蹴り落とし、推しの交友関係を潰し、ローマ時代のお衣装一式をプレボにぶちこんで、ロベスピonステージの生誕委員して…とめちゃくちゃガッツなんですけど、そこにロベスピ先生の意思はないんですよね。サンジュストくん推しの気持ちガン無視。でも推し事の本質ってそこにあるよなあなどとメタ的なことを思ったりしました。BREACHのメガネ握りつぶす人のセリフに「憧れは理解から最も遠い感情だ」というのがあって、孫ちゃんが好きなセリフとして引用してるインタビューを読んでから時々思い返すんですけど、それは全くその通りなんですが、逆もまた真なりで憧れを維持するには理解なんて不要なんですよね。手が届かないからいいんですよ。そういう意味ではヅカはほんとちょうどいいなって思います。だって最初から最後まで全部嘘で幻だもん。

Super Voyager
ショーだけはライビュよりも先にNHK版を視聴済みだったんですが、NHK版、すごかったですね?!わたしのご贔屓のみりおちゃん*2は2列目どセンで観た時ですら目線はくれても目があった感覚はなかったのに、Super Voyager冒頭で空から降りてくるだいもんさん、TVの中にいるのにばっちりわたしに目を合わせてきて恐怖を覚えました。うわ今目が合っちゃったよ恥ずかしい!って思った瞬間に「恥ずかしがらないで」って言われたときは死んだ。姿はもちろん心の中まで見られている…!でもライビュ版の時はなぜか目線くれませんでした。ライビュ会場はたくさん人がいるからわたし一人だけにファンサしちゃダメって考えたのかな~。気配りですね!
全体的に好きなショーなんですけど、朝美絢さんの女装*3だけは普通にめちゃくちゃかわいくて、なんかやだなって思いました。わたし、ヅカの女装のオカマ感あふれてるの(例:花組の水美舞斗さん)は大好きなんですけど、みりおちゃんとか朝美さんとか普通にかわいい人が女装してしまうと「あ、やっぱり女の子なんだ…よね…」って夢から覚めてしまう気がするのと、あとあくまで男役は男なので娘役の代用品にはしてほしくないんですよね~。
あ、あと暴風雨の口パクもやだ…お歌でズコーってなるの、お芝居のシリアスパートならまだしもショーの時はそれはそれでおもしろポイントので、個人的にはズコーでもいいから歌ってほしいし、録音流すぐらいならボーカルなしでよかったなあ。本家ジェネみたく、二人ボーカル役にして歌うのでもいいですし…でもその点を抜いたら暴風雨のとこ、めちゃくちゃ好きです!アイドル~!!!本家ジェネと違って細身のお衣装のせいかとにかくみんな足が長くてモンティパイソンのバカ歩き省かなって思いました!
ライビュのあとに同じ野口先生のショー処女作の星組「THE ENTERTAINER!」を観たんですが、わたしの大大大好きな藤井先生の「EXCITER!!」にそっくりで、他にも女装多用とかバックステージ感とか野口先生は藤井先生の直系なのかなあと思ったんですけど、この男アイドルパート入れるのが野口先生のこだわりならもっともっとやってほしい。毎回いれよ!藤井先生はギラギラだけど、野口先生はキラキラって感じする。ヅカってどうしても体質や体制が古いって感じることが多くてそこはちゃんと新陳代謝してってやきもきするんですけど、暴風雨の最後に肩組みながら「ライブビューイングでご覧のみなさーん!」って言ったの萌え過ぎてみんな大人しくみてる会場だったのに思わず声が出そうになって必死で我慢して結局ぐへっみたいな息をはいてしまったし、他の(といってもLDHぐらいしか知らないんですが)ライビュのいいとこ取りこんでる感あってうれしくなりました。LDHはネ…なんかよりヅカと提携しよ!ていうか次のハイローにはカジノパート入れてそこの演出を藤井先生にお願いするべき。あと柚香光さんは卒業後はLDHに所属するべき。HIRO神のLINEください!

*1:みりおちゃん主演・三島由紀夫原作。主役のキヨ様は大体光源氏と同程度のクズ度

*2:花組トップスターの明日海りおさん

*3:男役が女性の役をすること

TANIZAKI TRIBUTE「悪魔」完成披露(ネタバレ感想)

鬼邪高の女のくせに全日のプリンス轟洋介をまだ生で見たことがない!ということで行ってきました〜!TANIZAKI TRIBUTEとして谷崎潤一郎作品の中から三人の監督がそれぞれ選んだ一作を舞台を現代に変えて映画化するという企画。完成披露には三作品全てから登壇するので、てっきり短編三作構成で全部上映するんだとばかり思っていたら、三作それぞれ映画一本分の尺があって当日は「悪魔」だけを上映するってチケット取ってから気づきました。結果的に前田公輝くんの出るやつだったのでよかったです。でも当日流れた予告見たらあと2作も面白そうだったので、どれでもよかったかな。会場のテアトル新宿、初めて行ったんですがロビーはオサレで綺麗なのに劇場内はなぜかごちゃっとした人ん家感あって不思議な感じでした。あと座席が赤い*1のはいい!なんか椅子が赤いとテンション上がります。闘牛か。

tanizakitribute.com

■舞台挨拶について
前述の通り、三作分の登壇者がいるのに上映するのは一作だけなので、まだ観てなければこれから観るわけでもない映画の話を聞くのは変な感じ。あと人数は多いのにほぼみんな段取り良くなくてトークかつかつな上にでんでんおじいちゃんのハピバまでやろうとしててしっちゃかめっちゃかになってたのが楽しかったです。

・内田慈さん
去年、散歩する侵略者を観に行ったぶりだったんですが、いつ見ても原作漫画の方の深夜食堂にいそうだなーって思う。あと、出演作「神と人との間」の内容に絡めて中学の時の告られエピを話してくれたんですけど、めっちゃモテてたっぽくて、わかる〜〜わたしもこういう彼女や奥さんと気候が良くてメシのうまい瀬戸内海の島あたりで気ままに暮らしたい。でもある日突然失踪されそう。買い物から帰ってきたところで、あ、途中でネギ落としちゃったみたい探してくる!って言って出て行ってそのまま帰って来なさそう感ある。この内田さんに感じるあれこれ、一言で表すとしたら「キョンキョン感」だ。すっきりしました。

・でんでん
おじいちゃんしっかりして!

片山萌美さん
足が強い。

吉村界人くん
上映作の主演ということで締めの挨拶してたんですけど、あんまり喋りはうまくなくて(失礼)でも一所懸命に、自分は映画が好きだから、このテアトル新宿に、映画館に来てくれて嬉しいありがとうということを話していてじんわりきました。観劇は逆に覚悟決めれるんですけど、映画館行く時間捻出するの結構めんどうなんですよね。自分にとって、他にやりたい娯楽もいっぱいある中で、映画館で映画を観るという行為を選ぶのは時間の使い方としては割と贅沢な気がしているので、作り手の側がそれをちゃんと分かってくれてるとなんとなく嬉しいです。

・前田公輝くん
出てきた瞬間、あっ不二家の店頭にいるやつだって思いました!なんか妙につるつるしてるとこといい、すごいペコちゃんみある。でも映像やお写真でみた時の印象からそんなに変わらないかな。あのまんまかわいいしかっこいいししゅっとしてる〜〜!最初に登壇者が順に挨拶してくターンで他はみんな「(役名)を演じた〇〇です」って名乗ってたのに、前田くんだけ「鈴木を演じました」だけで済ませてて、おっ名乗らなくても今日きてるやつらはみんな俺の名前知ってんだろ?*2ってことか?!強気やな!!って笑ってたんですけど、単に名乗り忘れてただけらしく、その後作品について語るターンが回ってきたときに「さっき言い忘れたんですけど前田公輝っていいます」って言い直してて、でもそこまでの進行がぐだってたせいか司会の人が巻きモードに入ってて、こんな面白発言を完全スルーしてたのが今日イチ楽しかったです。

■映画本編について
※この映画はエビが死にます。
の注意書きが必要だなって思いました。エビの印象が強すぎて内容思い出すのにまずエビのことを忘れる作業が要る。あまりにエビ推しなので、原作でどういう扱いだったのか気になって、鑑賞後に買って読んだんですけどまさかのエビ、映画オリジナルだった!もしかして他の谷崎作品から持ってきたモチーフの可能性もあるのかな…そうでないなら監督はよっぽどエビが好きかエビが怖いかのどっちかですね。わたしはエビ吐くシーンとかエビが死んでるシーンより庭を闊歩してるエビが怖かったです。なんの暗喩なんだあれは。人間が嫌いな神経衰弱の大学生佐伯と、その下宿先の娘の悪魔なJK照子と、その同居ストーカーの鈴木と、佐伯の世話を焼きたがる大学のクラスメイトあゆみと、登場人物がみんなちょっとずつ壊れてて、その歪みが不協和音のように増幅されて最後破滅するっていう話なんですけど、わたしはこの作品で一番頭おかしいのは下宿屋のおかあさんだなって思ってしまったのでちょっと作品に入りこむのが難しかった。原作が発表された百年前ならそりゃ年頃の娘がいるご家庭が稼業として下宿屋やっててもおかしくないけど現代じゃあなあ…学生向けマンションの住み込みの管理人さんとか寮母さんじゃダメだったのかな。あと鈴木みたいなの住まわせてちゃだめでしょ〜〜。吉村くん演じる佐伯は百年前のインテリ層と言われても、現代っ子の大学生と言われてもそのどっちにもふさわしい不思議な雰囲気を持っててよかったです。鈴木はキモい。顔かわいいのにすごくキモい。やたらリアリティのある「知ってるキモさ」で、狂気とも違う、歪んだ眼鏡越しにしか世界が見えてない感じ。確かにこういう人はいるんだけどごーきまえだくんは子役からずっと芸能界にいるのにどこでこんなモチーフを学んでくるんだろう。観終わった後、なんだか自分の手がネタネタ汚れているような気がして無性に手を洗いたくなる、そんな湿度のある作品でした。

*1:公式サイトの画像は青かったので幻覚…?と焦ったら、2017年12月に赤に貼り替えたばかりだそう

*2:実際前列は自分含め前田くん目当てなんだろなーって人が多かった。

月髑髏(上弦)で髑髏城デビューしました(ネタバレ感想)

12月1日昼公演。映像含めて初髑髏城、後期のチケットも確保していたので事前下調べは一切せず、知っていた情報は「元々は捨之介と天魔王を古田新太一人二役する演目」「これまで女の子だった役が今回男」「風髑髏はむかいりが顔小さすぎて見えない(友人のライビュ感想)」ぐらいという状態でした。その後WOWOWのアカドクロを観たのでそれも含めての以下、ネタバレ感想です。その二つしか観てないので勘違いや分かってないところあったらごめんなさい!

 

捨之介、かっこよさが凄まじすぎる…!! 

もともと福士くんが観たくてチケット取ったんですけど、故ナンシー関の芸能評で、藤原紀香広末涼子はどちらも価値は和牛1万円分だけど、藤原紀香は1万円分の生肉の塊の現物なのに対して、広末涼子は1万円分の肉と交換できる商品券って語ってた(細部違ってたらすみません)のが一番印象に残ってるんですけど、今まで観てた福士くんが商品券なら福士捨は生肉の塊ってかんじでした。かっこよさに重さと手応えがあった。チケットがほぼ全席13000円でヅカのSS席*1を上回るとか生オケでもないのに高けーよって思ってましたけど福士捨になら全然払う。その価値がある。
そもそも福士くんに興味を持ったのは孫ちゃん(このブログは俳優の山田裕貴さんをイマジナリー孫として応援しています)と仲良しだからで、孫ちゃんって単純なかっこよ度に関しては映像や写真でみるより生でみる方が断然輝いてて、はまってから1年、いろんな人と並んで登壇してるところを見てきましたけど隣にどんなイケメン俳優が来ようがどんな人気アーティストが来ようが、生で見るなら断然山田裕貴の方が華があるし目を引くし周りに星が浮かんでるし全然勝ってるってニヤニヤしてたんですけど、唯一、あ、無理、向こうの方がかっこいい負けてる…ってなったのが福士くんだったんですよね。で、もう正直に書きますけど福士くんって演技が割とまあアレじゃないですか!?生で並んでるところみたのはぼく明日の舞台挨拶だったんですけど、ぼく明日すごい面白くて大好きなんですがやっべえ小松菜奈ちゃんありがとうってレベルにセリフ回しがズコーだし、福士蒼汰、いつ観ても顔の演技が3パターン(虚無・虚無寄りの微笑み・驚き)しかねえ!って友人と笑ってたんですけどそれでも福士くんが主役という謎の説得力だけはとことんあって、そういう存在が孫ちゃんと仲が良いとか業が深過ぎるじゃないですか…持ってるものが真逆やん…なのでちょいちょい福士くんの出演作は観てたんですけど、初舞台初主演とか観たいに決まってるし、なにより長年愛されてる演目だし、金がかかってることと面白さは担保されてるので多少福士くんがズコーでも大丈夫でしょ〜てかマモと比較されるとかどんなプレイだよwwwwって軽率に足を運んだんですけどすみませんここまで書いたこと全部謝ります。ごめんなさい!!!わたしの目が節穴でした!福士くんの良さ、なんも分かっちゃいなかった!とにかくかっこよかったしとにかく輝いていたし、なんかもうめちゃくちゃにかっこよかったです。おたくすぐ語彙力を見失うからしばらくフクシクンカッコイイ…カッコイイ……カッコイイヨー…て呻くファービーになってたし、手のひら5回転半ぐらいクルーして手首ねじ切れるところでしたが、ファービーそもそも手がないから大丈夫だったよかった。ちなみに前述の友人も後日観た後、福士蒼汰のファンです言いだしてて超笑いました。
ヅカが好きなぐらいですし、チケット代と時間と移動の手間をかけて映像ではなく生の舞台で何を観たいのかといわれたらやっぱりスターを観たいんですよね、わたしは。面白い物語やドラマティックな演出や細やかな心の機微は漫画や小説や映画で摂取する方が性に合ってるようなので。福士くんはすんごいスターだったし、しみじみとスターって本当に星だからスターなんだなって思いました。太陽じゃないんだ。ひとりで立たせておくよりも、満天の星のごとく大勢の中に立たせた時に一際輝くからスターなんだなって。ちなみに孫ちゃんは目を引く華やかさはあると思うけど、ひとりで立ってるときに美しいところが多分好きなところです。だからやっぱり福士くんの在りようとは全然違うんだなー。おたくすぐ推しの話してごめんな…それも概念で…でも山田裕貴にはまってから孫ちゃん以外の映画や舞台もちまちま観るようにしてるの、結局孫ちゃんのどこがいいのかどこが好きなのかを確かめたいし、ちゃんと他を知った上で一番好きって言いたいからってのもあったりします。わたし、わりと勤勉なおたくっぽいので…。

捨之介(福士蒼汰
とにかくかっこよかった。ていうか一個前の記事でも遠藤さんかっこいいしか言ってないですね…かっこいいオブザイヤー2017は福士捨、遠藤さん、柚香少尉*2がトップ3でした。ただ、本当に頭のてっぺんからつま先まで粋な色男なのに、作中で一切イケメンとして扱われる描写がない上に、霧丸が男なせいで誰かに恋心を向けられることもなく、完全にかっこよさが宙に浮いている問題はなんとかしてほしい。あんだけかっこいいのに、無界の里の女の子にキャー♡とも言われないっておかしくないです!?わたしなら言うし握手してもらうしチェキ撮りたいもん。ぼっち観劇だったのもあって、観終わった後、誰とも福士捨のかっこよさを分かちあえなくて困った。せめて作中の誰かとそれな!って言いたかった…福士捨かっこいいが過ぎない?それな、分かる、分かりみしかない〜!(おたくの共感三段活用)
他の花鳥風の捨も見る限りイケメンぽそうだったのでこれすごい不思議だったんですけど、アカドクロを観たら古田新太の捨が金髪パンチパーマに襟足長い田舎のdqnスタイルのおっちゃんだったので、あっ捨って元々はイケメンじゃなかったんだ…て理解しました。てかおじさんと少女のカプ大好きなので、沙霧→捨の淡い恋心めっちゃ萌えたし、もし月髑髏も沙霧だったら沙霧に自己投影するヤバいドリ女爆誕してましたね〜〜危なかった!捨沙の夢小説ください!女の子じゃなく、霧丸だったことで出てたのは捨之介の「若さ」かなあと。完全に霧丸に救われてた。光の霧丸…尊い…。
古田捨が自分が捨てたものがなんだったのかはっきり認識してそうなのに対して福士捨は何を捨てたのか、何を持ってたのかよく分かってないように感じました。捨てたというより失ったんじゃないのか。信長様のことも自ら志願して仕えた相手というよりも、父親とか兄とかに近い、物心ついた時には側にいて、生きてく上で手を引いてくれる存在として捉えてたのかなって。天魔王が死んだ時、親とはぐれた子供みたいって思ったし、その後もちゃんと生きると決めるまでずっと迷子の顔をしてるように見えました。かっこいいんだけど子供なんですよ…自分が助けたはずの霧丸に助けられて、ようやく自分はもう一人で歩かなきゃいけない大人なんだと分かったみたいな。チャラチャラしてる一幕はまだぎこちなさもあるんですけど、二幕の殺陣に次ぐ殺陣でだんだん疲れてきて髪も着物も乱れてからがとにかくいい。声にも顔にも疲れが滲んでるのが、道を見失ってもうどう生きていいのかわかんない戸惑いそのものだった。だからどこまで捨なのかそれとも福士くんなのかはっきりしないといえばそうなんですけど…でも最後はちゃんと疲れもなく、自分の意思で父親殺し(概念)×2の罪を川に流して自由を手に入れた顔で新しい人生の幕を開けて去っていったのでやっぱり捨之介だな。定期的にこのかっこよさを摂取したいからまた舞台やってください。

蘭兵衛(三浦翔平)
メ、メンヘラ女だ〜〜〜!!!昔の仲間の捨之介にも一緒に無界の里を作った極楽太夫にも全然興味がなさそうだし、まじで信長様のことしかみてないしあんだけドヤって単身髑髏城に乗り込んでおいて、秒で天魔王に取り込まれてるしチョロインすぎんか!?って思ってたら、こっちも元は女性が演じる女性の役だったんですねー。そりゃ男が演ったらメンヘラ女になるわ。でもアカドクロの水野美紀太夫に同志としての友情をちゃんと持っていたり、女のめんどくせー感情もあったりそういう感情のごった煮状態がいかにも女性だなって思ったのに対して、三浦蘭兵衛は信長様以外には完全な無関心って感じでした。きっと信長様が死んだ時にもう心は死んでて、感情とは別の部位によって正しいと判断したことを機械的にこなしてきただけで、無界の里にすら特に愛着はなさそうだった。全然関係ないんですけどこの興味のなさは宙組エリザベート思い出しました。姿月あさとさんのトート、お花様のシシィに1ミリも興味なさそうで、あれはなんだったんだ?ってたまに思い返しては不思議な気持ちになる。死神としてはプロ意識高かったのかもですけど…。
むかいり蘭がとにかく顔小さすぎてなんも見えないという話を聞いてたんですが、三浦翔平は顔大きいわけじゃないけど個々のパーツは大きくて派手な顔だし、闇堕ちしてからは目を見開いたり苦悩に歪めたり退廃的な美しさがはっきり見えてよかった。ただ、そんな感じに表情豊かに演じてたのにどういうわけかカテコの時は完全な無になってて怖かったです。あれは死後の蘭兵衛のイメージなの…かな…?誰にも心を開かずに死んでったけど、信長様への気持ちは誰にも共感も理解もされたくなかっただろうし、その気持ちひとつを抱えて一人で死んでくの、メンヘラ女的には大往生でしたねよかったね(?)しかし、孫ちゃんが髑髏城に出るなら脳内キャスティング会議を開催したら何回やっても蘭兵衛で決議されてしまうので困る。メンヘラは金山龍太くんで間に合ってます!

天魔王(早乙女太一
メ、メンヘラ女二号だ〜〜!?最初天魔王になる由来を説明してくれるんですけど、天天言い過ぎてててんてんてんてんててんがてんって言ってるようにしか聞こえないし、アカドクロ観てもよくわかんなかった。結局天魔王ってなんなんです?バカですまねえ今度パンフ買います。上弦の月は、信長様・天魔王・蘭兵衛で完全に人間関係が閉じてて、捨が余ってるのが気になったんですけど、アカドクロ観て蘭兵衛が女で、天・捨が表裏一体で信長様の方を向いてる構図に超納得しました。
やっぱり身のこなしのキレが他とは違ってて、腕も足も指も常人より関節が一つずつ多いのでは?!ってぐらい末端まで制御されてる動きをしていました。福士くんより大分背が低くて身体も細いので、捨と対決するシーン、初めは立派な鎧武者だったのが少しずつ剥がされて痩せた小男になって、そのまま落ちていくのが悲しかった。来世では姉姉弟の末っ子として生まれて姉二人に可愛がられる幸せな人生を送ってほしい。

極楽太夫(高田聖子)・兵庫(須賀健太)
おっかさんと末っ子だった!カテコで太夫の裾持ってはけてくのかわいすぎる…幸せにおなり…初演の極楽太夫羽野晶紀と知って膝連打するほど納得したし、羽野晶紀太夫を観るために下弦も行きたい〜。あと、荒武者隊で片肌脱いで刺青いれてる青い着物の人と、無界屋女子の左端にいたつり目の人がめっっちゃ顔がいいな…って思ったんで誰なのか知りたい。パンフ買います…はい…でもキャストの顔写真ぐらいサイト載せといてくれよ〜

霧丸(平間壮一)
光の霧丸〜!!さわやか、さわやか、そしてさわやかって感じ。元々女の子だったキャラを男にしたと聞いて、なんだなんだBLでもやんのか?!って思ったけど別にそんなことはなかった。捨之介のこと救ってくれてありがとうございます!

アラウンドシアターについて
川のセットすごい!これはもうぶっちぎりでよかったです。福士捨が素足で水をじゃぶじゃぶするたびに飛び散る水滴がライトに乱反射して、夢のように美しかった。あと、舞台が低くて客席が舞台のぎりぎりまで配置してあるので、前方席だと本当に目の前にキャストが立ってるっていう距離感はすごいと思いました。今度3列サイドで観るので超楽しみです。メリットはそれぐらい。
デメリットとしてはとにかく見切れがひどい。初見は7列中央だったので正面の見切れはなかったんですけど、それでも袖側は客の頭でかなり見えなかったし、鍛冶場なんかはサイドからはほぼ見えないだろうなあと。それと舞台セットが固定ということは舞台装置が出たり入ったりのギミックがなく、わたしはそういう演出がすきなので物足りなさを感じたし、全然平気な人もいるらしいので人によるんでしょうが、わたしは客席が動き出すたびにおえっとなったし、そのせいでいつ動くか常に気になって集中できなかったので個人的にはメリットよりもデメリットの方が多いなーと思いました。退場が舞台通るのもわたしは萎える派です。第四の壁壊さないで!あと、観たのが12月1日だったんですけど、休演日挟んでその前の11月29日が例の下弦中止の日でして…そういうトラブルが起きることも、そのあとの劇場公式twitterの対応の酷さにもイライラしたので普通の劇場の方がいいなあ。立地もよくないし。豊洲流してるタクシーの運ちゃんに劇場名言って通じないってひどない?!極のあと、何に使うんだろう。もう潰しちゃっていいんじゃないかな〜アラウンドシアター爆破セレモニーしよ!

*1:12000円。ただし当然ご用意はされない

*2:花組はいからさんが通る

ボーダーラインはロマンでできてる(ネタバレ感想)

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まさかの開演時間勘違いして舞台挨拶を見逃し、本編のみという体たらくでしたが観てきました。面白かった!さすが俺たちのAMG!さすが俺たちのイケタニマサオ!!観たあとのツイートから。ネタバレありありです。

・ボーダーライン、和製ファイトクラブだなという印象。甲本雅裕が半端なくかっこいい。そりゃ惚れちゃってなんでもしてあげたくなる。ちなみに名前書いてないと車の見分けがつかない女には車のシーンは割とポカーンでした

・ボーダーライン、なんかすごそうな車がぽこぽこ出てくるけどまったくわからないので、走るシーンでカーグラTV的に古谷徹のナレ入れて欲しいですね。そして愛と情はすべて車で使い切ったのか、ひたすらに人が…なイケタニマサオ脚本がいい。あとはただひたすら甲本雅裕がかっこいい。かっこいい!

・一方で紅井レオやキヴィマキはガチバン闇金ドッグスと世界観を繋げるためにいただけって感じ。レオがアベルの過去語るところは煮詰めに煮詰めたイケタニマサオ節って感じで好きだったんですけど。あのラストだともし次があるならそれは新天地の話になりそうなので、この後どうなるかは純粋に楽しみです

・あ、あとボーダーラインですごく良いなって思ったの、アクションシーン。重そうで鉄の匂いがして、ガチバン(ショーっぽい)、デメキン(漫画的かっこよさ)、ボーダーラインの中ならわたしはボーダーラインが一番好きですね

とにかく遠藤さん(甲本雅裕)がかっこよかったです。かっこよすぎてやばい大丈夫か死ぬんじゃないかと思いながら観てたら全然大丈夫じゃありませんでした。知ってた。出てきた瞬間に死を察するレベルのかっこよさ。役どころも本人もかっこいいうえに青島コート着てるんですよもうそれだけでかっこよ度+150%のバフが常時かかってるようなもんじゃないですか。生き残れるわけがねえ。踊るで育った人間なので甲本雅裕というと湾岸署の入口で棒持って青島刑事を見送ってる人ってイメージなんですけど、約20年後、今度は青島コート着てヤクザにすらなりきれなかった半端者の役やるって感無量すぎる〜!あとですね、観てる途中にあっ…て気付きを得たんですが、前に孫ちゃんとNAOTOさんの顔の下半分が似てるってエントリを書いたんですけど、甲本雅裕も同じ下半分してるんですよ…嘘だろ…なんかもう自分の好みがワンパターンすぎて、きっと前世であの口と鼻と顎のラインを持ってて青島コート着てて前髪重めのもさもさ頭の人に産湯を使われたんだなって悟りました。多分もう一生好きだわ。
舞台挨拶時、監督がわざわざBLじゃないよって言及したらしいんですけど、物語はほぼアベルと遠藤さんのお互いへの感情で成り立っていました。ちなみにレオとはなんにもないので安心してください。ストーリーとしては、ハマで不良として名高い「混血のアベル*1がたまたま遠藤さんに助けられたのをきっかけに更生して車の修理工になり、客のスーパーカーを使って夜な夜な遠藤さんから頼まれた正体不明のブツの運び屋をしていたところ、ヤクザに追われてる紅井レオを拾ったことをきっかけに均衡が崩れ…という流れです。で、実は遠藤さんは元ヤクザで、弟分だった広澤(遠藤要)に裏切られて組を追われ、今は病院から裏ルートで胎盤を買い取り、アベルに運ばせて稼いでいる人なんですね。女の股から落ちたもので稼ぐ元ヤクザって完全に忠臣さんのifじゃん!名前も似てるし…今まで、闇金ドッグスはガチバンのスピンオフという位置付けだったのが今回のボーダーラインを合わせてAMGアウトロームービーユニバースという括りになったんですが、遠藤さんはどこまで忠臣さんを意識したんだろう。闇金1で忠臣さんは最後まで筋を通したわけですけど、小中に金を返せなくなって何かに膝をついたのが遠藤さんなんですよね。一つのシリーズを生んだ忠臣さんと真逆の人間を別のシリーズの一作目で人柱のごとく埋めるって最高にエモい。ありがとうイケタニ先生&飯塚P…
まあとにかくアベルはそんな遠藤さんのことが好きで、遠藤さんもアベルのことが好きなんですよね。アベル→遠藤さんの関係は自分がそう変わりたいという憧れの対象としてはファイトクラブっぽいし、二人がお互い全く噛み合っていないという点では賢者の贈り物のようでした。アベルは遠藤さんを助けたかったのに、助けた結果からアベルを守るために遠藤さんが死ぬっていう。
峠攻めたり豆腐運んだりする車かっけー話だとばかり思ってたら、がんがん人が死ぬのでめっちゃびびりました。ワイ◯ドヒーローズかよ。人を殺すより死体を消す方が大変だって植野会組長も言ってるのに、ヤクザの人たちが考えなしにバカスカ殺していくので、結果として遠藤さんが元弟分のとこに単身カチコミに行くんですけど、その時の武器はなんと日本刀です。なお、後を追ってきたアベルの武器はスパナです。遠藤要はさすがプロのヤクザだけあってピストルもってて、それで遠藤さんを倒すんですけどアベルが来た途端、拳銃投げ捨てて日本刀に持ち替えるっていう。今は21世紀だし昭和どころか平成も終わるし、ここはSWORD地区じゃねーぞ?!まあ弾切れだったのかもですけど…そんなアナログな戦闘なのにヤクザみんな死ぬし、遠藤さんも死ぬ。ちなみに車ではねるという選択肢はなかったのでやっぱりここはSWORD地区ではないっぽい。ボーダーライン地区の最強武器はスパナです!ちょうど、この映画を観る前後に三宅乱丈先生のイムリを一気読みしてまして、この作品もエンドレスに憎しみが憎しみを生む地獄を作るためにひたすらに人が死ぬんですけど、そこに1ミリもロマンはないんですよね。容赦なく、物語のために死んでいく。男性の書き手にあって、女性の書き手にないものは良くも悪くもロマンだと思ってるので、イムリの作者が女性だと知ってものすごく納得しました。一方、ボーダーラインは男の男による男のために作られた映画なので、みんなロマンに殉死していく。ロマンに満ちた犬死の博覧会でした。意地とか義理とか情だとか、ほんの一瞬の熱情のために、後から落ち着いてよくよく考えたらそんな大事でもないことのために死ぬ。最初、この物語にボーダーラインというタイトルが付いてるのがしっくりこなくて、素直に捉えるなら遠藤さんは一線を越えたし、アベルには越えさせたくなかった、なのかもしれないけどどうも違うなーと。多分、境界線の内と外の話ではなく、みんな境界線の上を歩いてたんじゃないかと思います。レミゼの終盤で欄干の上を歩くジャベールのように。レミゼでは境界線の両側はそれぞれ生と死だったり善と悪だったりするわけだけど、ボーダーラインの両サイドはきっとどちらも無意味な死です。遠藤さんにとって、南の島を手に入れることも、日本刀一本でヤクザの集団にカチこんでくことも死に場所探しという意味では同じだったんだと思う。落ちるのが境界線の右か左かというだけで。イケタニ脚本の何が好きって、底辺の人間を描きながら否定も肯定もせず、ただありのままにそこに「ある」ことを描いてるのが好きなんです。目を閉じて欄干の上を歩くような生き方に意味なんてないし、でもそれをすごく好きだと思う自分がいる。それはなんだと聞かれたら、やっぱりロマンだと呼ぶしかない。

 

以下はキャスト別に思ったことなど。

我妻アベル(藤田玲)。第一印象がギャラリーフェイクかよ、なんですけどこの人とつねくんさんが同じ事務所っていうのすごく分かる…ってなりました。藤田さんもカテゴリ跡部様じゃないですか?加藤和樹もそうですけど、バンドのボーカル感ありません?詞は書くけど曲は書かないタイプ…って思ってたら本当にバンドのボーカルで詞だけ書いてる人だったみたいでめっちゃ笑った。なぜか脱衣シーンがある。もっとシャープな人かと思ったら意外に素朴な雰囲気もあって、運び屋してるのがなんかよかったんだよって言うとこの語彙力のない感じが切なかった。
遠藤春男(甲本雅裕)。遠藤さん、下の名前春男って言うんだ…しつこいようだけど本当にかっこよかった。南の島に呼んでやってもいいって言うの、ズルすぎる。あんなこと言われたらそりゃあアベルは遠藤さんのこと好きになっちゃうじゃん!
紅井レオ(荒井敦史)、ジョンキヴィマキー(副島淳)。二人とも面白かったけど、ほんと世界観を繋ぐためだけにいたって感じなので次回に期待するしかない。レオが話の進行に絡んだのってヤクザの根城教えてくれたことだけでは…?しかもそのあと俺たちも行くかって言ってるのに別にどこにも行かないし。これがレオレオ詐欺か。実は後から来て後始末してくれたりしたのかなあ。忠臣さんの縄張りの例の屋上にずっといるのではやく忠臣さんと対決してほしいです。
健太(西川俊介)。ワンコかわいい!!!!もう出てこないなんて嘘でしょ…でもデメキンフルボッコにされた後に二階から投げ捨てられた人が次の日には自力で歩いてたことにちょっと違和感だったので、やっぱりフルボッコにされたあとビルから投げ落とされたら人は死ぬんだなっておもいました。
車。本作のサビだと思うんですけど、なんせセダンを車のメーカーだと思ってたレベルの女なのでかっこよさを分かってあげられなくて申し訳なくなりました。車シーンの感想が「安楽亭…」しかない。あの安楽亭わざとだとしたら賞賛する。

*1:この辺の過去バナをレオの荒井敦史さんがペラペラ喋るんですけどそこが最高にイケタニマサオ節でベネ

デメキン小説版・漫画版・映画版差分について

ティーチインやってくれるということで原作を慌てて読みました。映画版のエピソードが小説版・漫画版にあるかどうか、それとも映画オリジナルなのかの差分チェックです。ネタバレありありです。

■共通
・正樹と厚成の出会い(小学生)
・小学生時代、いじめられていた話
・中パレに来た真木くんから喧嘩をするなら、の話を聞く
・静奈さんの話と真木くんの死
・ミツグ・三浦との出会い
福岡第一高校2年vs1年
・大八くんとの出会い(耳を落とされそうになるまで)
・幻影設立と福岡連合参加
・大沼部くんの面白エピソードいろいろ

■小説版
・出会い時の厚成が吸っていたのはシガレットチョコではなくガチのタバコ
・正樹にも彼女がいる
・真木くんと静奈さんは付き合っていない
・大八くんとの出会いの話に厚成はまったく出てこない
・厚成のエピソードはほぼ小中のみ。高校での描写は子供ができたので引退を申し出る(正樹はすぐに了承する)話と、正樹の引退走りに飛び入りしてきた話のみ。
・アキは名前だけで具体的なエピソードなし
・全体の半分が小中のエピで、高校は福岡連合に入った後は、逮捕されて鑑別所で引退を決意する〜お笑い芸人を目指すまでの話がメイン。福岡連合二代目総長襲名から福岡統一までの話はほぼなし。蝉魔竜は名前すらでてこない。

■漫画版
・小説版にあるエピソードは全て漫画版にもある
・5巻まではほぼ小説版と同じ。6巻以降、漫画版のみのエピソードが入り始める
・厚成は工事現場で働いている
・エビダイがいる
・ミツグの家族の話、福岡連合に合流する話
・大八くんとの出会い時、厚成は大八くんの家の近くまで助けにきたが、無事に帰ってきた正樹と合流する(正樹は厚成が助けにきたことに気付いていない)
・アキからそろそろ落ち着きたい、と言われるももうちょっと待って、と答えるシーン
・入院中、再度蝉魔竜の襲撃を受けるのは源太くん。窓から投げ捨てられるのも源太くん
・厚成は最初の福岡連合vs蝉魔竜の小競り合いで忠次を指差したからという理由で襲撃される。折られるのは足ではなく指
・蝉魔竜の二人組のデブじゃない方がイケメン。超イケメン。
・厚成入院中、アキに屋上に呼び出されて話すシーン(セリフはままですが演出は真逆)
・厚成が子供を理由に引退を申し出た際、正樹はすぐに了承するもその後いろいろある
・厚成の引退式(ここで2ケツシーンの元らしき描写あり)

■映画オリジナルと思われるもの
・平成開始のラジオを二人で聞くシーン
・正樹・厚成の出会い時にビーバップハイスクールの話をする
・中学卒業時にボタンの話で殴り合い
・厚成が働いているのはラーメン屋
・阿鳳結成は厚成が言い出したから
・インスタントラーメン早食い
・二代目総長指名後、ニケツで帰る
・源太くん、箱詰めされるの巻
・厚成の蝉魔竜闇討ち、その前のガソスタシーン
・屋上でアキの話を聞いたあと、病室で話すシーン
・蝉魔竜との決着後、厚成が迎えに来る


小説版では高校の話はほとんどなく、漫画版でも高校以降は厚成はあまり出てこなくて、正樹も福岡第一組や光、松本とつるんでることが多かったです。大ヒット御礼で山口監督や脚本家の足立さんが話されてたとおり、元は群像劇だったのを映画版では正樹と厚成の二人の物語にするためにかなり改変してるし、やっぱり面白さのキモは脚本だ…ってかみしめました。
ちなみに小説の文庫版は解説が山口監督でしっかり映画版について語ってて読み応えあるのと、本編が前半はちゃんと小説してたのに逮捕のあたり*1から改行と3点リーダの連打アンド連打で完全に壺ポエムだし謎のグルーブ感あってめちゃ面白いのでぜひ読んでください。カーチャン泣かせて反省した次のページでまた泣かせてて展開の爆速加減にシンナーキメながら書いたのかな?!ってげらげら笑った。あと山タイマンの話がめっちゃおもろい。これは漫画版にもあるけど小説版の方が面白かったですね。漫画版で面白かったのはシンナーでナンパする話。当時の北九州、シンナー以外に娯楽なかったのかな?ってぐらいエンドレスにシンナーの話してる。シンナー、ダメ絶対!

*1:三○猫ホームズの落書きの話はまさに現実は小説より奇なりってレベルにエモいので映画版の正樹と厚成が好きな人にもそこだけは読んでほしい…

2017年推し事めも

これ以上の突発イベントがなければ2017年の推し事が納まりました。多分。書いておかないと忘れちゃうのでまとめます。

1/14 ゾウを撫でる初日・闇金ドッグス5初日
3/4 闇金ドッグス4・5リリイベ
4/1 3人のパパトークショー
4/12 破裏拳ポリマー完成披露
5/13 破裏拳ポリマー初日
5/18 トモダチゲーム完成披露
6/3 トモダチゲーム初日
6/4 トモダチゲーム2日目
7/15 HiGH&LOWtheLAND特別版
8/2 ニドナツ先行(名古屋)
8/3 トモダチゲームFINAL完成披露
8/5 闇金ドッグス6初日
8/9 HiGH&LOW EOS完成披露
8/19 HiGH&LOW EOS初日
8/24 ニドナツバンド選手権
8/27 あゝ荒野前篇完成披露
9/1 ニドナツ初日
9/2 闇金ドッグス7初日・トモダチゲームFINAL初日
9/3 トモダチゲームFINAL2日目
9/4 亜人完成披露
9/15 レブロンイベント
10/7 あゝ荒野前篇初日
10/29 闇金ドッグス6・7リリイベ
10/30 あゝ荒野後篇大ヒット御礼
11/3 鎌倉女子大みどり祭
11/18 写真集リリイベ
11/21 デメキン完成披露
11/25 写真集リリイベ(FC限定)
11/26 HiGH&LOW FMファン感謝祭
12/2 デメキン初日
12/3 写真集リリイベ(大阪・名古屋)
12/9 TGC広島
12/10 デメキン大ヒット御礼

いやーわたしも真面目に通ったなと思いますけど、それ以上に孫ちゃん、よく働いたなー!?9月以降怒涛すぎる。しかもイベント出るのは本業じゃない訳ですし。さすが今年14本出演した男なだけある…まじお疲れ様…写真集の印税でおいしいものいっぱい食べてくれ…でも来年1月からドラマなのでもうそっちのお仕事なんだろうなー。後で今年のお仕事まとめエントリも書きたいです。他者におすすめはポリマー、出てくれて本当に感謝したのはあゝ荒野と大河、孫ちゃんすげーってなったのはガキロックです!あとデメキンエモおもろいから観て!!来年は初日挨拶だけでなく大ヒット御礼挨拶が増えたら嬉しいな。映画の規模の差というものをすごく意識する1年だったので、大ヒット御礼に登壇しているのを見ると、感慨深いものがあります。今年最後があれでよかった。平日開催だらけすぎてニドナツ全然行けなかったのと、アニメイト池袋のハイローイベ行けなかったのは超悔やみました。夏、自分の仕事も特に忙しくて社畜社畜社畜社畜社畜ランドランド社畜…を繰り返してたら孫ちゃんのランド登壇を見届けた後に丸4日39度の熱を出して寝込んだのと、Weショップの前で車にひかれたのが今年のハイライトなので、来年は健康に推し事するのが目標です。色々あったよほんと。わたしはエキは行かないことにしてるんですけど、ガチの人はこれにさらにエキも入るんでしょ…すごいな。みんな、健康第一で行こうな。来年もよろしく!